不眠症・睡眠障害 | みぞぐちクリニック | 東京駅八重洲北口・日本橋駅5分

お悩み・疾患別治療 SYMPTOMS

不眠症・睡眠障害

一般的な治療法

睡眠障害とは

睡眠に何らかの問題がある状態のことです。
睡眠は心身の回復、記憶の定着、免疫機能を強化する働きがあります。睡眠が障害されると日中の活動へ支障をきたし、心身の健康に影響します。
また、日中にみられる睡眠障害の症状から事故につながることや、生活習慣病やうつ病のリスクも高くなることがあります。

睡眠障害とは

睡眠障害の種類と症状

不眠症

不眠症とは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害によって、その人にとって必要な睡眠時間が十分に取れないことや睡眠の質が低下することで、日中の疲労や眠気、集中力の低下、不調、気分変調などが起こり、生活に支障をきたす状態です。
不眠症は睡眠障害のうち最も多いと言われています。
日本においては5人に1人がこのような不眠の症状に悩んでいるとされています。不眠症は、小児期や青年期にはまれですが、20~30歳代に始まり加齢とともに増加し、中年、老年と急激に増加します。また、男性より女性に多いと言われています。

不眠症のタイプ

入眠障害
床についてもなかなか(30分~1時間以上)眠りにつけない

中途覚醒
いったん眠りについても、翌朝起床するまでの間、夜中に何度も目が覚める

早朝覚醒
希望する時刻、あるいは通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない

熟眠障害
眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない

※なお、これらの症状は同時に複数現れることがあります。

過眠症

過眠症

過眠症とは、夜に十分な睡眠時間をとっているのに、日中に過度の眠気によって仕事や学習などに支障をきたす状態です。
過眠症にはナルコレプシー、突発性過眠症、反復性過眠症、薬剤による過眠があります。

過眠症のタイプ

ナルコレプシー
世界的には1000人から2000人に1人にみられる病気で、10歳代で発症することが多い疾患です。
日中の耐え難い眠気と居眠りが繰り返し生じます。
居眠りは長くても30分以内と短く、目覚めたあとは一時的にすっきりします。
笑ったり怒ったりすると、突然体の力が入らなくなり、ひどい時はへたり込んでしまいます。
寝入りばなに金縛りにあったり、現実と区別がつかないような夢を体験したりします。

突発性過眠症
発症は10~20歳代で、有病率はナルコレプシーよりやや少ないと推計されています。
昼間の眠気と居眠りを主症状とします。
居眠りは1時間以上続き、目覚め後はすっきりと覚醒できずに眠気が持続し、リフレッシュ感が乏しい場合が多いようです。

反復性過眠症
非常にまれな疾患です。初発はほとんど10歳代で、女性より男性で頻度が高いとされています。
強い眠気を呈する時期(傾眠期)が3日から3週間持続し、自然に回復してまったく症状がなくなるが、その後不定の感覚で傾眠期が繰り返し出現する。

薬剤による過眠
抗ヒスタミン作用のある風邪薬や抗アレルギー薬、抗不安薬、抗うつ薬などの薬剤の副作用により日中の眠気が生じます。
特に高齢者では代謝される時間が遅くなり、短い作用時間の薬でも日中の眠気につながることがあります。

概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害とは昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わないため、1日の中で社会的に要求される、あるいは自ら望む時間帯に睡眠をとることができず、活動に困難をきたすような障害のことをいいます。

交代勤務による睡眠障害
夜間不眠、日中の眠気、作業能率の低下、倦怠感、食欲不振などの身体・精神症状が出現します。

睡眠相後退症候群
明け方まで寝つけず、いったん眠ると昼過ぎまで目が覚めないという状態に陥ります。
無理して起床すると、眠気や強い倦怠感などの症状がみられます。

睡眠相前進症候群
夕方から眠くなり、起きていられなくなり早朝に目が覚めてしまいます。

非24時間睡眠覚醒症候群
寝つく時間、起きる時間が毎日1~2時間ずつずれていきます。

不規則型睡眠覚醒パターン
睡眠と覚醒の出現が昼夜を問わず、不規則な病態になります。夜間の不眠や日中の眠気、昼寝の増加などがみられます。

睡眠呼吸障害

睡眠呼吸障害

睡眠呼吸障害とは睡眠中に異常な呼吸を示す病態の総称です。有病率は一般人口の1%以上で、特に中年期に多く30~60歳の男性では4%、女性では2%前後と言われています。代表的な疾患は睡眠時無呼吸症候群であり、夜間睡眠中に何度も呼吸が止まります。
その診断基準としては1時間あたり5回以上の無呼吸もしくは低呼吸(呼吸量が正常呼吸の2分の1以下になるもの)が存在することが挙げられています。
睡眠時無呼吸症候群の95%は閉塞性睡眠時無呼吸症候群が占めており、高血圧、虚血性心疾患、脳梗塞の発症要因になることがわかっています。

睡眠時無呼吸症候群の症状

主症状としては、日中の眠気、大きなイビキ、睡眠時の窒息感やあえぎ呼吸、夜間の頻尿、覚醒時の倦怠感、頭痛などが挙げられます。
ただし、夜間の症状等については、本人が自覚していることが少ないので、ご家族や周りの方の注意が必要となります。

睡眠障害の原因

睡眠障害の原因

睡眠障害の原因は人によって様々です。
原因によって生活習慣を見直すだけで大丈夫な場合や、医師による治療が必要になる場合もあるなど、対処法も変わってきます。

心理的要因
家族や友人の死、人間関係、仕事上の問題など、何らかのストレスに関連して起こる不眠。悩みやイライラ、極度の緊張からの精神的ストレス、睡眠に対するこだわり、コロナウィルス感染症に対する不安やストレスなど

身体的要因
外傷や関節リウマチなどの痛みを伴う疾患、湿疹や蕁麻疹などの痒みを伴う疾患、喘息発作や頻尿、花粉症など、身体の病気や症状が原因で起こる不眠。年齢、性差、頻尿、痛み、痒みなど

精神医学的要因
精神や神経の病には、不眠を伴うことが少なくありません。なかでも不眠になりやすいのは、不安と抑うつです。落ち込んだり、憂うつな気分が続くときは注意が必要です。

薬理学的要因
服薬している薬やアルコール、カフェイン、ニコチンなどが原因で起こる不眠があります。代表的な薬には、抗がん剤、自律神経・中枢神経に働く薬、ステロイドなどがあります。

環境・生活習慣的要因
睡眠を妨げる環境による不眠があります。海外出張や出張による時差ボケや受験勉強や職場の勤務シフトなどによる生活リズムの昼夜逆転など、ライフスタイルが大きく変わると、眠ろうとする機能が低下し、眠る機会が妨げられることがあります。そのほか、枕が変わる、暑さや騒音、明るさの影響など。

睡眠のメカニズム

睡眠欲求と覚醒力
睡眠は睡眠欲求と覚醒力との二つのシステムによって行われています。
人は覚醒中、活動を続けていると脳に疲労(熱)が溜まっていきます。脳に溜まった熱を冷やすためには睡眠が必要で、覚醒時間が長くなるほど、睡眠欲求は強くなります。眠ると睡眠欲求は減少していき、必要な時間眠ると睡眠欲求はなくなります。
覚醒時間が長くなるにつれて睡眠欲求は増していくので、睡眠欲求だけでは昼過ぎには起きていられなくなります。
そうならないように、睡眠欲求に打ち勝って、日中起きて活動できるようにしているのは覚醒力です。
覚醒力は体内時計から起こっており、起床後からだんだんと強くなって、普段就寝する時刻の数時間前に最も強くなります。
就寝時刻の1~2時間前になると睡眠と覚醒のリズムの調整に深く関わるメラトニンが分泌され、就寝時刻付近に急に眠気を感じるようになります。

体内時計と睡眠
脳の視交叉上核に存在する体内時計によって、体温やホルモン分泌などの生体機能が24時間の周期リズムで動き、睡眠と覚醒の調節をしています。
脳の温度は、日中活動中は高くなっていますが、夜になると身体から熱が放散されて脳の温度は低下します。
夜、寝る前の時間帯には急激に脳が冷えて眠気が強くなります。同じころに睡眠を促すメラトニンが分泌され、入眠を促します。他にもいろいろな生体機能が深い睡眠のために作用します。
朝方になると、脳の温度が上昇し、覚醒作用のある副腎皮質ホルモンが分泌されて自然な目覚めのための準備がされます。概日リズムによって睡眠と覚醒のリズムはもたらされており、体内時計のずれを起こさないことが質の高い睡眠を得ることにつながります。
メラトニンは明るい光を浴びると分泌されないので、夜は部屋を暗くして休み、メラトニンの分泌を妨げないようにしましょう。
そして、1日24時間の外界の周期よりも少し長い時間である体内時計の周期を、朝の光を浴びてリセットすることが睡眠、覚醒のリズムを保つために大切です。

ノンレム睡眠とレム睡眠

夜寝ている間、脳はずっと休んでいるわけではなく、脳活動は変化し続けています。睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠の二つの睡眠で構成されています。

ノンレム睡眠
ノンレム睡眠とは普通の眠りで、ほとんど眼球運動がみられません。
睡眠の深さでN1、N2、N3の3段階に分かれており、一般的にはN1とN2は浅い眠り、N3は深い眠りに分類されています。
睡眠の前半に、ノンレム睡眠の深い眠りであるN3の多くが出現します。睡眠欲求が低下する朝方には浅い眠りであるノンレム睡眠のN1とN2が多くなります。
ノンレム睡眠では脳活動が休まり、交感神経の活動も休息して心拍数や呼吸数、血圧が低下します。

レム睡眠
レム睡眠は浅い眠りで眼球がよく動き、脳も活動している状態です。脳波を見ると覚醒しているときに近い状態となっています。レム睡眠はノンレム睡眠の間に約90分の周期で繰り返し現れ、朝方に近づくにつれて一回ごとのレム睡眠の長さが長くなっていきます。
レム睡眠では脳はある程度活動していますが、筋肉の活動が低下します。脳は比較的起きているのに身体が動かないと感じる金縛りはレム睡眠時に起こります。
夢をみるのもレム睡眠時が多く、記憶回路が成長、活発化しています。交感神経の活動は休まるどころか亢進しており、目が覚めて夢でみた内容にドキドキすることがあるのは、レム睡眠時の交感神経の活動が活発になっているからです。

ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクル
ノンレム睡眠は、睡眠のサイクルの前半で集中して脳を休養させる睡眠です。
一方、レム睡眠は、筋肉が弛緩し、身体を休める睡眠です。
起床の時間に近づくにつれてレム睡眠の一回の時間が長く出現し、脳が働いて夢をみることや、血圧や脈拍の変動などの身体の働きもみられ、覚醒するための準備をしている睡眠とも言われています。
ノンレム睡眠とレム睡眠で構成されたサイクルは一晩の睡眠で3~5周期繰り返されます。

睡眠障害の診断

睡眠障害の診断

睡眠障害は身体疾患や精神疾患、服用している薬の有無や肥満、飲酒、就寝起床時刻、生活習慣、仕事についての問診や実際の睡眠を測定して診断されます。
以下の症状を自覚することや人から指摘されることがあり、日常生活に支障をきたす重篤な場合は睡眠の専門クリニックを受診しましょう。

  • 不眠(寝つきが悪い、寝ている途中で目覚めて再度入眠ができない、朝早く起きてしまう、熟睡できない)
  • 過眠(日中眠気が強い、居眠りをしてしまう)
  • 寝る前に足がムズムズする、動かさずにはいられなくなる
  • 適切な時刻に就寝、起床ができない
  • 睡眠中、大きないびきや呼吸が止まることがある
  • 睡眠中に大きな寝言や叫ぶ、寝ぼけて行動することがある
  • 睡眠中に足のピクつきがみられる
睡眠障害の治療

睡眠障害の治療

睡眠障害の治療は、「薬物療法」「非薬物療法」の大きく二つに分けられます。
睡眠障害の治療では、まず不眠の原因を診断し、生活習慣の改善などの治療を行います。
不眠が他の疾患が原因となっている場合は、まずはその原因となる疾患の治療が優先となります。
糖尿病の治療において、生活習慣の改善が重要であるように、睡眠障害の治療においても生活習慣の改善がとても重要になります。睡眠障害の治療のゴールは、薬物治療に頼らずとも十分な睡眠が得られるようになることです。
しかし、薬物療法治療において、医師が必要と判断した際には、その指示に従うことも重要です。

薬物治療

睡眠薬は作用時間により4つに分けることができます。

超短時間型
効果が非常に短時間で現れるものです。主に中枢神経系に作用して、安らぎやリラックス感をもたらし、睡眠へ導いてくれます。持続時間が短く副作用も少ないです。

短時間型
効果がでるまでに約30分から1時間ほどかかります。比較的短期間で効果がきれる特徴があり、副作用も少ないといわれています。

中時間型
効果がでるまでに約1時間から2時間ほどかかります。持続時間がやや長いため、主に中途覚醒や早朝覚醒が原因の方に使われます。副作用がやや多いとされており、依存症のリスクも高いため長期間の使用には慎重である必要があります。

長時間型
効果が持続する時間が長く、8時間以上の睡眠を確保できる場合に適しています。

睡眠薬の種類

GABA受容体作動薬(ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系)
脳の興奮を抑えるGABAという脳の神経伝達物質の働きを促すことにより、脳の活動を休ませて眠りへと導きます。

メラトニン受容体作動薬
脳内には、メラトニンという体内時計の調節をする眠りに関わるホルモンがあります。メラトニンが作用する部分を刺激することにより、体内時計を整え、睡眠を促します。

オレキシン受容体拮抗薬
脳内にはオレキシンという覚醒を維持する物質があります。この薬はオレキシンの働きを弱めることにより、睡眠を促します。

漢方薬

柴胡加竜骨牡蛎湯
ストレス、疲れなどで滞った気をめぐらせ、身体にこもった熱を冷ますとともに、心を落ち着かせます。

黄連解毒湯
のぼせやほてりがあり、イライラ・カッカして眠れないなど、身体の熱を冷まし、興奮を鎮める作用があります。

桂枝加竜骨牡蛎湯
身体のバランスを整える「桂枝湯」をベースに、「竜骨」「牡蛎」等を加えた処方。これらが一緒に働くことで、気、血のバランスが整い、不安定な精神を落ち着かせます。

抑肝散加陳皮半夏
「肝」の高ぶりを抑える「抑肝散」に「陳皮」「半夏」を加えた処方。自律神経の働きを安定させるとともに、血を補い、気、血をめぐらせることによって、いらだち、怒り、緊張などを和らげます。

加味帰脾湯
眠りを導くために必要な血を補い、気をめぐらせることによって気持ちを落ち着かせます。

睡眠薬の副作用

持ち越し効果
薬の効果が翌朝以降も持続してしまい、午前中の眠気、ふらつき、仕事や学業の集中力の低下や日常生活の質の低下などがあります。

筋弛緩作用
睡眠薬の中には、多かれ少なかれ筋肉を弛緩させる作用があります。立ち上がるときに力が入らず、転倒してしまい骨折に繋がる危険性があります。

記憶障害
脳内の神経伝達物質の働きを抑えることで、記憶の定着がうまく行われず、主に短期記憶に影響を与えることが多いです。日常生活での約束や用事の忘れ、仕事でのミスや情報の伝達ミスなどがあります。

反跳性不眠
飲んでいた睡眠薬を、突然中止したことにより、不眠症状がかえって強く現れてしまう現象。作用時間の短い睡眠薬ほど起こりやすい。

依存性
睡眠薬を服用していないと落ち着かない、手元にないと不安になってしまうことがあります。

その他
頭痛、めまい、吐き気、便秘、腹痛、筋肉痛などがあります。

非薬物治療

非薬物治療

  1. 規則正しい生活を心がける
    睡眠時間にこだわり過ぎず、毎朝同じ時刻に起床しましょう。朝、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされます。その約14時間後からメラトニンという睡眠ホルモンが体内に分泌され、睡眠が促されます。規則正しい食生活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。
  2. 定期的な運動
    日中に適度な運動をすることで、ストレス解消や自律神経を整える働きがあり、良質な睡眠を促すことが知られています。ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなど負担が少なく、継続できるような運動習慣がおすすめです。
  3. 寝室環境
    音や光対策を行い、快適な温度を保ちましょう。快適な就床環境のもとでは、夜中の目覚めは減ります。寝床で本を読んだり、スマートフォンを見たりせず、眠るためだけに使いましょう。テレビやパソコンも要注意。脳を刺激するため、寝る直前まで見ていると眠気が起きづらくなります。寝床=眠る場所という意識付けも重要です。
  4. 就寝前の飲み物
    就寝前の水分の摂り過ぎには気を付けましょう。カフェインは寝つきが悪くなり、睡眠が浅くなってしまいます。飲酒は一時的に寝つきがよくなりますが、夜中に目が覚めやすく深い眠りができなくなります。
  5. 就寝前の喫煙
    ニコチンには神経刺激作用があります。夜の喫煙は避けましょう。
  6. 入浴
    就寝の2時間ほど前にするのが理想的。38~40℃くらいのぬるめのお湯に25~30分ほどつかることで、より睡眠効果が得られやすくなるといわれています。

記事執筆者

溝口徹 画像

医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長

溝口 みぞぐち とおる

所属・資格

  • 栄養解析医
  • 栄養解析レポート監修
  • 社)オーソモレキュラー栄養医学研究所 代表理事
  • 日本抗加齢医学会 評議員
  • 2018年国際オーソモレキュラー医学会 Hall of Fame
  • 2020年第2回日本オーソモレキュラー医学会総会 会頭
  • 栄養療法ブログ
  • スタッフブログ
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