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2021.10.27

【論文紹介】Flash Glucose Monitoring(FGM)時代の血糖値の分類-低血糖・血糖値スパイクを中心に-

「何も食べていない時に意識を失う症状」のある方が普通の病院へいっても「検査に異常なく糖尿病でもない」といわれて帰らされることがあります。患者さんとしては症状があるのに?!という感じですよね。

大病院で糖尿病外来も担当している当院の仙田先生によると、「こういった機能性の低血糖症概念は糖尿病学会で認められていません。インスリン注射などの治療による低血糖には注意するけれど、自然に下がる血糖値のことは考えられていないのが糖尿病学会の甘いガイドライン」なのだそうです。

一方、オーソモレキュラー栄養療法では「症状がでるのには、機能の障害があるはず」と考えます。臓器が壊れたり異常がなくても、臓器の働き(機能)に問題があります。そして臓器の機能の問題は栄養の問題で起こることが多いのです。みぞぐちクリニックでは、詳しく血糖値の状態を知るために、随時血糖2週間の検査や、ブドウ糖を負荷して5時間で調べる検査もおこなっています。また、通常の基本セットの中にも、1回の検査で血糖値スパイクを予測するための項目が組み合わされています。このようにいろいろな検査があるのは、どのような疾患であってもベースにある血糖値の安定をとても重要視しているからなのです。

今回の論文紹介では、「自発性低血糖」について抜粋してお話します。

「自発性低血糖」とは、糖尿病はないのに、低血糖の発作を起こすことです。
厚生労働省は自発性低血糖症の研究班を設け全国調査をしました。すると我が国全体で350人いたそうです。本来、自発性低血糖症は、機能的病態であると考えますが、厚労省研究班の報告には、インスリノーマのような器質的疾患や薬剤性低血糖も含まれていました。

自発性低血糖で重要なのは、その低血糖のエビデンスがなかなか診断上は、あがりにくことにあります。従来、自律神経失調症やうつ病、発達障害、統合失調症などメンタルな疾患に誤認されることが多かったそうです。難しい言葉で「身体因性偽精神病」といいます。

著者らは慢性疼痛や慢性疲労の病態究明のために血糖値に関心を持ち、自発性低血糖症がこれらの病態に潜在していることが以前の自分たちの以前の研究で明瞭になったといっています。そして、経験を通して自発性低血糖症患者がいかに多いか、血糖値スパイク現象による症状の著しさ、自発性低血糖脳症の誤診例(身体因性偽精神病)の多さを感じているということです。

自発性低血糖症の多くが機能的病態であり、生活習慣病であることを考えると、食事を中心とした生活習慣を見直し行動修正し、膵臓に負担のかからない生活を創造することが望まれます。

多くの機能的病態は可逆的であり、その治療に際しては、患者教育と患者の自覚、患者自身による行動変容が必要になってくる。こうした目的にかなう患者中心の医療システムが早急に構築されるべきだと考えていると結ばれていました。

わたしたちの経験からも、多くの患者さんが低血糖症状で悩まれており「自発性低血糖症は我が国全体で350人」なんてことはないはずです。。。
スタッフは患者中心の医療システムが早急に構築されるべきだという結論を読んで、まさにオーソモレキュラー栄養療法でわたしたちが目指している医療だ!と思いました。「可逆的」とは治る見込みがあるということです。栄養不足が原因ならば、栄養を補ってあげれば体が応えて機能を回復させることができる。オーソモレキュラー栄養療法は治る希望をもてる医療だと常々感じています。

・・・とはいえ、毎日忙しく、食生活が乱れがちな人は、どうやって実践していったらいいのだろう?
当院の仙田先生は、朝食でしっかりタンパク質を食べることが大切だと診察室でいつも言っています。そうすると、セカンドミール(昼食)の血糖の上昇を抑えて一日中血糖が安定するそうですよ!
過去ブログの中で溝口院長が雑誌記事の中でアドバイスをしてくれました!「実践的賢い食事の選び方」よろしければこちらもご覧ください♪ 甘くみるとヤバイ 「男の隠れ貧血」「低血糖」

今回の紹介論文 原著PDF
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ifcm/19/1/19_21/_pdf

Flash Glucose Monitoring(FGM)時代の血糖値の分類-低血糖-・血糖値スパイクを中心に

永田勝太郎,志和悟子,大槻千佳,喜山克彦

抄録:
かつて、糖尿病の診断は医師の官能で行われた。糖負荷試験の開発以降は、「糖尿病」「境界型糖尿病」「正常血糖値」の区別がつくようになってきた。近年、Flash Glucose Monitoring(FGM)が開発され、患者固有の血糖値のdaily profaileがさらに簡単にわかるようになってきた。そこで、低血糖・血糖値スパイクが問題になってきている。線維筋痛症や慢性疲労症候群の背景にこれらの糖代謝異常が潜在していることがわかってきた。低血糖は80mg/dl未満を指し、血糖値スパイクは食後最大血糖値と最低血糖値の差が60mg/dl以上を指す。FGM時代を背景に低血糖を分類すると、以下のようになる。1.糖尿病性低血糖-緊急性低血糖発作 2.非糖尿病性低血糖(自発性低血糖症)(1)機能性低血糖-無反応性低血糖・反応性低血糖(血糖値スパイク)・新生児低血糖(2)器質的低血糖-インスリノーマ、インスリン自己免疫症候群・ダンピング症候群など胃切除後(3)薬剤性低血糖(4)偽低血糖・虚偽性低血糖