溝口徹の栄養療法ブログ DOCTOR BLOG

2022.05.18

グルテンフリーの重要性①

みぞぐちクリニックではアレルギー反応があってもなくてグルテンフリーをしてもらうよう食事指導をしています。パンや麺など身近な存在の食べ物なのに何故避けなければいけないのか、、、
今日は様々なトラブルの改善に大きく関わるグルテンについて少しお話できればと思います。

まずグルテンは、グリアジン(弾力は弱いが粘着力が強く伸びやすい)とグルテニン(弾力に富むが伸びにくい)という2種類のタンパク質に水分を加えてこねる事で2つのタンパク質が絡み合い、粘りや弾力のある「グルテン」になります。

小麦に含まれるタンパク質のうち80~85%がグリアジン及びグルテニンでこの二つはほぼ同量含まれています。
あのパンや麺のたまらないもちもち感はグルテンの働きだったのです。
また、グルテンに対して免疫反応が起きるセリアック病は、近年アメリカでは130人に1人に発症していると言われている病気です。

日本はセリアック病のように特殊抗体はないものの、グルテンに反応してしまう「グルテン過敏症」「グルテン不耐性」といわれるグルテンにより何らかの不調が出るアレルギー体質の人が急増しているのです。

グルテンを摂取する事で起こる症状は多岐に渡り

・腹部の膨満感、消化不良、腹痛

・慢性的な疲労感

・下痢や便秘

・集中力の低下

・肌荒れ

・PMS

・生理不順

・不妊

・アトピー

・ぜんそく

・鼻炎

・頭痛

・低身長

・体重増加不良

・多動

・衝動性

 

などの症状があります。
何故、こんなにも症状が多岐に渡るのでしょうか。それはグルテンが起こす小腸へのトラブルのメカニズムにあります。まずグルテンのアミノ酸の配列が関係しているのですが、グルテンを作るのは、グリアジンやグルテニン以外にもセカリン、ホルデインなどがあります。
これらは全てペプチドの一種です。

通常タンパク質はペプチドという鎖のように繋がった分子に分解され、消化酵素によって消化され、アミノ酸となって小腸で吸収されます。ところが、グリアジンやグルテニン、セカリン、ホルデインといったペプチドは抵抗性が強く、分解されにくい構造をしている為、消化されないまま小腸に到着し、その場に残ってしまう。

腸粘膜が弱かったり、腸内環境が悪い場合、これらのペプチドが腸の粘膜に入り込んで炎症を引き起こし悪さを起こします。小腸は臓器の中で最も長い臓器となり約6mの長さがあります、さらに上皮は、絨毯の毛のようになっていて広げると表面積がテニスコート1/4ほどの面積になるのです。

ところが腸にトラブルが起きていると絨毯のような細かい毛の部分が扁平になってきます、扁平になると表面積が減少してしまうので栄養を吸収する面積が少なくなる事になり、栄養障害が起きてしまうのです、栄養を吸収する大切な臓器にトラブルが起きる訳ですから症状も多岐に渡るのが想像できるかと思います。逆を言うとそれだけ私たちの身体は栄養状態に左右されるという事が言えます。

そしてこれまで発達障害のお子さまを診ていて例外なく腸の状態が悪く、訴える症状も腹痛や慢性的な下痢など消化器官症状を訴えることが多いです。子供はまだ成長期という事もあり腸管も十分に出来上がっていない事から血消化器官のトラブルにでやすい事が予想されます。ところが大人になるとグルテンの感受性が高い場合、腸管以外の症状を訴える事が多くなる印象があり最も多い症状は「疲労感」なのです。クリニックに来てくださる殆どの方が、「疲労感」「寝ても疲れが取れない」という悩みを訴えています。

もちろん糖質過多による血糖値の乱高下で疲労感がでている事も考えられますが、糖質+日常的に摂取しているグルテンの影響も大きく関係していると言えるのではないかと思います。

実際に患者さんにグルテンフリーをしてもらうと体調の変化を感じて下さる方がほとんどです。アレルギー反応があるないに関わらずグルテンフリーはどんな方にもオススメです。
次回はグルテンの依存性についてお話できればと思っています。

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