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産後うつは、出産後に発症するうつ状態を指します。
一般的に、産後2〜3週間から3ヶ月以内に発症し、通常は2週間以内に自然に治まります。
一方、産後うつ病はより深刻で数ヶ月から1年、場合によっては2年以上続くこともあります。極度の悲しみや興味の喪失を伴い、適切な治療が必要となり、放置すると症状が悪化する可能性があります。
日本では、産後うつの罹患率は約10~20%とされ、深刻な場合には自殺に至ることもあるため、早期発見と治療が重要です。
産後うつ(産後うつ病)の症状は多岐にわたります。
主な症状は以下のようなものがあります。
深刻になると、下記のような症状も現れます。
産後うつ(産後うつ病)の原因は複数の要因が重なって発症することが多いとされています。
以下に主な原因を挙げます。
ホルモンバランスの変化
出産に伴い、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が急激に変化します。
これにより産後は体調変化が起こりやすく不安定になります。
このホルモンの変動が脳の神経伝達物質に影響を与え、産後うつ病を引き起こしやすくなります。
睡眠不足と疲労
出産後は頻繁な授乳が必要で、睡眠時間が細切れになりがちです。
この慢性的な睡眠不足と肉体的疲労が育児疲れや精神的な不調を増幅させ、産後うつのリスクを高めます。
心理的・社会的ストレス
育児に対する不安や、家族からのサポート不足、周囲からのプレッシャーなどが心理的ストレスとなり、産後うつの発症につながります。
既往歴と環境的要因
うつ病の既往歴や、パートナーの支援不足などの育児環境も影響を与えるとされています。
これらの要因が複合的に作用し、産後うつ(産後うつ病)を引き起こします。
産後うつ(産後うつ病)は、該当症状が2週間以上続く場合に疑われます。
診断にはエディンバラ産後うつ自己調査票(EPDS)を用いたスクリーニングが行われますが、正式な診断は精神科医による評価が必要です。
あなたの気分をチェックしてみましょう。
過去7日間にあなたが感じたことに最も近い答えにチェックをつけてください。
10項目全部に答えてください。
①笑うことができたし、物事の面白い面も分かった
②物事を楽しみにして待った
③物事がうまくいかなかった時、自分を不必要に責めた
④はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配したりした
⑤はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた
⑥することがたくさんあって大変だった
⑦不幸せな気分なので、眠りにくかった
⑧悲しくなったり、惨めになったりした
⑨不幸せな気分だったので、泣いていた
⑩自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた
1、2、4の質問の答えは上から0、1、2、3点、
それ以外の質問の答えは上から3、2、1、0点として数えます。
合計スコアが12点以上の場合や、スコアに関わらず不安を感じる場合には産婦人科や精神科で相談してみましょう。
また、血液検査を行って甲状腺の病気などの原因によるものではないことを確認することがあります。
産後うつ(産後うつ病)の治療には以下のようなアプローチが取り入れられます。
環境調整とサポート
初期段階では、育児の負担を軽減し、周囲のサポートを得ることで改善が期待できる場合があります。
パートナーや家族、周囲の人々の協力が必要です。
出産後のメンタルケアは、地域の保健センターや専門機関への相談する方法もあります。
身近にメンタルサポートが得られる環境があることはとても大切です。
精神療法
育児ストレスやプレッシャーが引き金となり症状が悪化することがあります。
早期の相談と適切な治療が重要であり、心療内科や精神科でではカウンセリングや心理療法を受けることができます。
薬物療法
症状が慢性化して重度になると、薬物療法が必要になることが多いです。
抗うつ薬の投与が一般的であり、授乳中でも安全に使用できる薬もあります。
また、精神療法と抗うつ薬を組み合わせた治療も推奨されているので医師と相談しながら治療を進めていきます。
産後うつを防ぐには、母親の身体的・精神的な回復を支援し、母子関係の構築を助けることが大切です。
産後の不安や母親の孤立感を軽減し、自信が持てるように援助することで産後うつを予防します。
このような支援を産後ケアと呼び、重要性が高まっています。
医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長