砂糖依存・砂糖依存症(甘い物依存症)とは | 砂糖依存症の治療ならみぞぐちクリニック

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砂糖依存症

砂糖依存症とは

砂糖依存症 イメージ

現代人の多くが「甘いものがやめられない」という悩みを抱えています。
その背景には“砂糖依存症”と呼ばれる状態があります。これは単なる「好み」ではなく、脳やホルモン、栄養状態に深く関わりがあります。
砂糖は「マイルドドラッグ」とも呼ばれ、薬物並みの依存性があることがわかってきました。 砂糖依存症を発症すると、甘いものを食べたいという欲求がコントロールできなくなり、 食べないと禁断症状が出るほどの状態となります。

最近ではテレビや雑誌などのメディアで取り上げられることも増えてきており、当院でも 治療のために受診される方は年々増えています。
オーソモレキュラー栄養療法では、こうした状態を「体の栄養不足による代償行動」と捉え、根本的な解決を目指します。

体の栄養不足による代償行動 イメージ

砂糖依存症には大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは低血糖症という状態で、血糖を調整する能力が落ち血糖値が急に下がることで甘いものを欲するタイプです。

もう1つは脳のセロトニン不足のタイプです。セロトニンは、安心したりホッとしたりするときに出るホルモンで、不足すれば心が不安定になりやすく疲労感が増します。

セロトニンはトリプトファンというアミノ酸やビタミンB6などを材料に脳で作られますが、急激に下がったときにはそれでは間に合わず、代わりに糖を摂って血糖値を上げることで対応しています。
いずれにしても、糖を摂ることで脳内の報酬回路が過剰に刺激され「もっと食べたい」と いう欲求が強化されます。
けれども血糖値の急上昇による満足感は一時的なもので、インスリンによって血糖値は急降下するため、集中力の低下やイライラ、だるさといった症状が現れ、再び糖を求めると いう悪循環に陥ります。これが“砂糖中毒”の典型的なメカニズムです。

また、タンパク質やビタミンB群、クロム、マグネシウムなどの不足も、砂糖への渇望に関係します。これらの栄養素は血糖値の安定に関与し、神経伝達物質の正常な生成にも欠かせません。
不足すれば甘いものに頼る形で自己調整しようとするのです。 砂糖依存症を改善するには、ただ「我慢」するのではなく、まず栄養状態を整えることが 大切です。

「砂糖依存=意志が弱い」という見方は誤りです。
このような状態は体のバランスが崩れているサインと捉え、根本的な栄養補正に取り組むことが、根本的な解決につながります。

オーソモレキュラー栄養療法は、そのための有効なアプローチとなります。

砂糖依存症をセルフチェック イメージ

砂糖依存症のセルフチェックリスト

下記のチェックリストの項目のうち、5つ以上に当てはまる場合、砂糖依存症の可能性があります。

砂糖依存症セルフチェックリスト

また、砂糖依存症に併発しやすい症状に下記のようなものがあります。

併発する症状
  • 頭痛がする
  • 集中力が落ちる
  • 落ち込みやすい
  • 些細な事にイライラする
  • 手足が冷える、震える
  • 朝起きるのが辛い
  • 睡眠の質が悪い
  • 疲れやすい
検査 イメージ

オーソモレキュラー栄養療法での検査について

砂糖依存症の改善には、栄養状態を把握して糖に対する調整能力を知ることが重要です。

当院では70項目以上にわたる詳細な血液検査でタンパク質やビタミン・ミネラルの不足や炎症など体の栄養バランスを総合的に確認しています。
また、血糖の調整能力を詳しく調べるために5時間糖負荷検査を実施しています。

これらの検査を組み合わせることで、砂糖依存症の背景にある身体的要因を明らかにし、一人ひとりに適した改善策を立てることが可能となります。

検査 イメージ

5時間糖負荷検査

糖尿病の診断では、75gのブドウ糖を摂取し2時間の血糖の変動を測定します。
みぞぐちクリニックで行っている砂糖依存症の診断のための糖負荷検査では75gのブドウ糖を摂取し5時間検査を行います。

実際には、10時間以上絶食した午前9時半に空腹時の検査を行い、血糖値、インスリン値、HbA1c、グリコアルブミン、1,5-Agなどの項目を測定します。
そして、75gブドウ糖を摂取し、15分・30分・60分・90分・120分・150分・180分・240分・300分の合計10回少量の血液を採取し血糖値とともにインスリン値を測定します。
(※静脈内留置針を使用するため、針を刺すのは最初の1回だけです)

また、自律神経の反応をみるために血液採取時の体温・血圧を測定し、同時に自覚する様々な症状を自由記載していただきます。

5時間糖負荷検査では、血糖の変動だけでなくインスリンを測定することが特徴です。
インスリンの分泌パターンは、自律神経症状と深く関係しており、インスリンを測定することで血糖値が正常なときでも砂糖依存症の様々な症状が出現するのを説明することが可能になります。
また、自覚症状を記載することで、患者様もつらい症状と血糖やインスリンの変動との関係を理解することが可能となり、食事の工夫などで対応可能であることを知ることになります。

5時間糖負荷検査のグラフはいくつかのパターンに分類することができます。

正常な5時間糖負荷検査の結果
正常な5時間糖負荷検査の結果
  • 血糖値:○の折れ線グラフ
  • 体温:●の折れ線グラフ
  • インスリン:棒グラフ

90㎎/dl前後の空腹時血糖から75gのブドウ糖を摂取によって血糖は60分後に160㎎/dlを超えることなく145㎎/dlまで上昇しています。
その後、血糖は緩やかに低下し180~240分後に最低を記録し、300分でもとの値にもどっています。
血糖値が一度下がった後に、何も食べていなくても自力で血糖値をもどせるかどうかは、様々な症状と深く関係しています。
120分の糖負荷検査では血糖調節能力を十分評価することができないため、みぞぐちクリニックでは5時間の糖負荷検査を施行しています。

反応性砂糖依存症のグラフ
反応性砂糖依存症のグラフ

このグラフは過食・うつ症状・肥満などの改善を目的に受診された20歳代の女性の患者様の結果です。
正常な空腹時血糖ですが、75gのブドウ糖を摂取したところ血糖値は200㎎/dl以上となり、その後急激に血糖値は低下し4時間後には空腹時血糖をはるかに下回る36㎎/dlまで低下しています。
この急激な血糖の低下と実際の低血糖は強い食欲を刺激し過食の原因となり、重度の低血糖はうつ症状の原因にもなります。

無反応性砂糖依存症のグラフ

通常では75gのブドウ糖を摂取することによって血糖値は140㎎/dl前後まで上昇します。無反応性の砂糖依存症では、ブドウ糖を摂取しても血糖の上昇が起こりません。
このような状態では、食事を摂取しても元気にならず強い疲労感や抑うつ感を終日自覚することが多くなります。

みぞぐちクリニックの経験では、無反応性砂糖依存症の患者様は20歳未満を含む若い方に多く、朝起きられず学校や会社へ行くことができないことが多くあります。

起立性調節障害やうつ病、適応障害などと診断されている場合には無反応性砂糖依存症のことが多く、無反応性砂糖依存症では夕方になると比較的元気になることもあるため、医療スタッフからだけでなく家族や学校、職場などの周囲からも理解されずストレスになることも多くあります。

無反応性砂糖依存症のグラフ

このグラフは、うつ病と診断されていた20歳代の女性の患者様の結果です。
16歳頃から朝起きることができなくなり日中に強い疲労感と抑うつ感を伴うようになりました。
18歳時にうつ病の診断となり抗うつ剤が処方されるようになりました。明らかな効果が得られず徐々に薬が増えてきたため他の治療を探しオーソモレキュラー栄養療法を知ることになりました。

乱高下型砂糖依存症のグラフ
乱高下型砂糖依存症のグラフ

正常な空腹時血糖で75gのブドウ糖摂取によって正常な血糖の上昇が得られています。
この正常な血糖上昇にたいしてインスリンが過剰に分泌していることから血糖は急激に低下しブドウ糖摂取の60分後には空腹時血糖の近くまで低下します。

ブドウ糖を摂取したにもかかわらず、すぐに血糖が低下していることから多くのホルモンの作用によって再び血糖が上昇し150分後に2回目の血糖値のピークを形成します。
このような乱高下型の砂糖依存症では、様々なホルモンを分泌し低血糖を防ごうとします。

それらのホルモンには、アドレナリンやコルチゾルなどが含まれているため、アドレナリンによる動悸や緊張、手足のしびれや筋肉のこわばり頭痛、コルチゾルの頻繁な分泌によるニキビなどの皮膚のトラブルや肥満、副腎疲労の原因にもなります。

血糖値の変動と自律神経症状の関係について

みぞぐちクリニックでは、5時間糖負荷検査の結果から統計的手法を用いて自律神経と血糖変動やインスリン分泌との関係について調査しました。
2025年4月 Scientific Reportsという英文雑誌に、みぞぐちクリニックの研究結果が掲載されました。

この論文では、血糖値の変動にともなう症状には、低血糖による症状と自律神経のバランスの乱れによる症状があり、とくに自律神経のバランスの乱れによる症状は、ブドウ糖を摂取した後のインスリン分泌のパターンによって変わることが分かりました。
この結果は、血糖の変動や低血糖のときの血糖値よりも、血糖値の調節に関係するインスリン分泌のパターンの関与が強いことを示しています。
インスリン値の変動は、フリースタイルリブレなどの随時血糖測定器では測定することができず、5時間糖負荷検査を行うことの有効性が理解されました。

論文詳細:Nature.com(外部サイト)

砂糖依存症の治療 イメージ

砂糖依存症の治療について

砂糖依存症は治療が可能です。
甘いものを食べ続ける生活を続けていると、血糖調整能力や栄養状態が落ちていき、更に症状がひどくなる可能性があります。
食生活を見直し血糖調節能力や不足の栄養状態を正常に戻していくことが大切です。

治療のポイント

目標
血糖スパイク(急激な血糖値の変動)を作らないような食事をすることで食後穏やかに血糖が推移して糖への渇望感や気分の変動が起きづらくなる。

食生活の見直し
血糖スパイクを作りやすい食事は自律神経を乱し砂糖依存症の症状を悪化させます。
また、糖質の代謝に必要な栄養を消費し二次的な症状を引き起こす可能性があります。
(例:睡眠の質の低下、メンタル症状、胃腸の不調など)

血糖変動を起こしにくい食事内容に変更し、症状を出にくくすることが大切です。
(個人に合わせた糖質制限、タンパク代謝を整える、エネルギーの確保、食べる順、不足栄養素の補充、時間帯など)
※糖質制限の程度は個人差があるため、いきなり極端な変更はせず個々に合った方法を選ぶ必要があります。

自律神経を安定させ、血糖調節能力を上げていく
血糖の変動の仕方は個人差があります。血糖調節能力が上がると、同じものを食べても血糖の変動が緩やかになり、症状が出にくくなります。
自律神経の安定、血糖調節能力には、栄養状態が大きく関係しています。
※強く小麦製品に依存している方、カンジダの症状が強い方、副腎疲労が強い方は難治性の砂糖依存症の可能性がある為、治療が長期化する場合があります。

砂糖依存症の治療の料金(目安)

5時間糖負荷検査
24,200円
血糖値とインスリン等の変動を5時間にわたり調べる検査
初回基本プラン
52,800円
初回基本プランに含まれるもの
・詳細な血液検査+栄養解析レポート
・診察料 5回分

※追加検査が発生する場合があります。追加検査の料金の詳細などは診療料金をご覧ください。

月々のサプリ代
2万円~6万円

記事執筆者

溝口徹 画像

医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長

溝口 みぞぐち とおる

所属・資格

  • 栄養解析医
  • 栄養解析レポート監修
  • 社)オーソモレキュラー栄養医学研究所 代表理事
  • 日本抗加齢医学会 評議員
  • 2018年国際オーソモレキュラー医学会 Hall of Fame
  • 2020年第2回日本オーソモレキュラー医学会総会 会頭
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