「ブレインフォグ」とは、集中力の低下、物忘れ、思考のもやもや感など、まるで頭に霧がかかったようにぼんやりとしてしまう状態を表し、特定の病名ではありません。
最近、ブレインフォグは新型コロナウイルスやワクチンの後遺症として話題になることが多いのですが、以前は副腎疲労の症状として知られていました。
現代では多くの方がこの症状に悩まされていますが、その原因はさまざまで、アレルギーや腸内環境の悪化、血糖値の乱高下、慢性のストレス、栄養不足などが複雑に絡み合っていると考えられています。
オーソモレキュラー栄養療法では、身体や脳の機能を正常に保つために必要な栄養が不足していないか血液検査や唾液検査で調べ、食事やサプリメントで補うことで根本からの改善を目指します。
炎症を抑え、血糖調整、エネルギー代謝の調整、腸と脳のつながりをサポートすることなどにより、自然なかたちで「頭のスッキリ感」を取り戻すことができます。
以下の項目に思い当たるものがあるか、チェックしてみましょう。
※当てはまるものに「チェック」を入れてください(複数可)。
ブレインフォグに対する確立した特効薬はありませんが、当院を受診するブレインフォグの方には、以下のような共通した血液検査上の特徴がみられることが多く、それらを改善することが症状の回復につながります。
グルコースやグリコアルブミン、1.5AG、インスリンなど糖代謝に関連するデータに問題が見られます。
血糖値のコントロールが難しくなり、糖質を摂ると血糖値が跳ね上がってその後急降下する血糖スパイクが見られ、低血糖になっていることが多いです。
低血糖でも高血糖でも脳の働きに悪影響がありますが、特に低血糖の際は血液中に細胞のエネルギー源となるブドウ糖が少ないため、ブレインフォグの症状が出やすくなります。
精製された糖を避ける、タンパク質や食物繊維を積極的に摂るなど、食事の取り方を見直します。
炎症は脳の機能に悪影響を及ぼします。
また、糖代謝や血圧の乱れにもつながりますので、できるだけ炎症の原因を突き止め、除去してくことが重要です。
胃や腸の粘膜の炎症、アレルギー物質の暴露、アルコールやカフェインの摂りすぎ、ストレスなどが炎症の原因としてよくみられます。
エネルギー代謝やドーパミン・セロトニンなど脳内ホルモン合成に必要なビタミンB群やマグネシウム、免疫を調整して過剰な炎症を抑える作用があるビタミンDなどの栄養素を食事とサプリメントでいち早く理想的な水準に回復させることが症状の早期改善につながります。
オーソモレキュラー栄養療法において、ブレインフォグの原因を評価するために有用な検査の一つが「副腎ストレス指数パネル(唾液検査)」です。
ストレスとホルモンのバランスの乱れがブレインフォグに関与しているかどうかを確認するために行います。
副腎ストレス指数パネルとは、1日を通して4回採取した唾液中のホルモン(主にコルチゾールとDHEA)を測定する検査です。
副腎は、ストレスに対応するホルモン「コルチゾール」を分泌する臓器で、慢性的なストレスや栄養不足、睡眠障害などでその機能が乱れると、全身のホルモンバランスが崩れ、疲労感・集中力低下・不安・睡眠障害など、ブレインフォグの症状が現れやすくなります。
ブレインフォグは、脳のエネルギー不足・炎症・神経伝達物質の乱れなどが原因とされますが、副腎機能の低下によって脳の働きが鈍くなるケースが多く見られます。
特に、長引くストレスによりコルチゾールが枯渇した「副腎疲労」の状態では、脳に必要なグルコース供給も不安定になり、ブレインフォグが起きやすくなります。
副腎ストレス指数パネルは、ブレインフォグの背景にあるストレスホルモンのバランスを可視化できる重要な検査です。
ブレインフォグの症状や原因は一人ひとり異なります。
オーソモレキュラー栄養療法では、詳細な栄養状態やストレスホルモンのバランスを調べることで、個々に合った方法で状態の改善を図ることが可能です。
治療に関して疑問や不安に思うことは、いつでもお電話やメールでご相談いただけます。
また、無料カウンセリングもございますので、お気軽にお問い合わせください。
疾患:ブレインフォグ
性別:男性
年齢:14歳
具体的な症状:
施行した検査
もともとアレルギー性疾患があり、コルチゾールの分泌が過剰になりやすい状態であったところにコロナワクチンの接種によりさらにコルチゾールの需要が増し、関連する栄養素が不足したことなどにより症状の発現につながったものと考えます。
食事指導
サプリメント
鉄やビタミンB群、ビタミンDなどの栄養素を医療用サプリメントで補充
治療開始1ヶ月後:途中参加なら登校できるようになるくらいまで回復。食欲も出てきた。
2ヶ月後:朝起きられるようになり、胸痛はほとんどなくなった。休日は友人と遊ぶこともできるが、頭の回転はまだ鈍い。
10ヶ月後:たまに頭痛が起き、時々朝起きられないことがある程度まで回復、その他の症状はほぼ消失した。
項目 | 治療前 | 4ヶ月後 | 7ヶ月後 |
---|---|---|---|
MCV | 79.3 | 85.8 | 87.5 |
ホモシステイン | 9.2 | 7.0 | 12.4 |
グリコアルブミン | 13.3 | 13.4 | 13.2 |
AST(GOT) | 18 | 18 | 24 |
ALT(GPT) | 11 | 13 | 13 |
乳酸脱水素酵素 | 160 | 163 | 162 |
総コレステロール | 133 | 125 | 125 |
尿素窒素 | 14.3 | 14.5 | 11.4 |
ペプシノーゲン1 | 29.2 | ND | ND |
25OHビタミンD | 32.9 | 42.5 | 50.4 |
解説
通常用いる基準値による評価では栄養状態を評価することはできません。
オーソモレキュラー栄養療法では、本来あるべき理想的な栄養状態と比較することで不足している栄養素を選択します。
食事内容やタイミングの変更により低血糖状態の時間が減ったこと、腸内環境が改善したこと、医療用サプリメントにより鉄・ビタミンB群・ビタミンDを補給したことなどが症状の改善に寄与した可能性が高いと考えられます。
サプリメントのリスク・副作用
サプリメントに含有されている各栄養素に対しておきるアレルギー
消化器症状(ムカつき、不快感など)
ブレインフォグセット(初回基本プラン+副腎ストレスパネル検査+甲状腺セット) |
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99,000円+α(必要に応じて追加検査代) 初回基本プランに含まれるもの ・詳細な血液検査+栄養解析レポート ・診察料 5回分 |
※追加検査が発生する場合があります。追加検査の料金の詳細などは診療料金をご覧ください。
月々のサプリ代 |
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20,000〜62,000円 |
ブレインフォグとは「脳の霧」と言われることもあり、思考がぼんやりして集中できない、記憶力や判断力が低下しているように感じる状態を指します。
正式な疾患名ではなく、複数の症状の総称として用いられています。
以前からこのような症状は指摘されていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症として多くの人に現れたことで注目されるようになりました。
特定の好発年齢があるわけではなく、子どもから高齢者まで幅広い年代で発症しますが、年齢が上がるほど症状が重くなる傾向があります。
ブレインフォグは、さまざまな疾患に併発することがあります。
代表的な疾患には下記のようなものがあります。
※新型コロナウイルス感染症から回復した後も、長期間にわたりさまざまな症状が続く状態をロングCOVIDと呼ぶことがあります。
WHOは「発症から3ヶ月以内に現れ、少なくとも2ヶ月以上持続し、他の病気では説明できない症状」と定義しています。
ロングCOVID患者の20~30%がブレインフォグを経験するとの報告もあり、数ヶ月から2年以上続くケースもあります。
ブレインフォグの症状には下記のようなものがあります
これらの症状は個人差があり、日常生活や仕事に支障をきたすことがあるため、治療をすることが推奨されます。
ブレインフォグには、複数の要因が関与していると考えられています。
ブレインフォグに対する確立した特効薬はありません。
一般的には以下のような治療方法が取られています。
ブレインフォグの経過は人によって異なります。多くの場合半年以内に治まりますが、1年以上症状が続くこともあります。
改善しても、ストレスや過労で再発することもあるので、普段から生活リズムを整え、ストレス管理やバランスのよい食事などを心がけることが大切です。