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オーソモレキュラー栄養療法 (旧 新宿溝口クリニック)

みぞぐちクリニック

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2021.02.16

【論文紹介】低血糖症の認識のメカニズム +血糖が症状に関係していることが想像できると対策が打てる!

低血糖になりそうな感覚は、実は低血糖そのものではなく、ほとんどが自律神経症状の知覚によって引き起こされるものです。

 

森喜朗元首相の辞任

透析を受けながら命をかけて東京オリンピックに向けて準備をしてきたと話題の森喜朗元首相。
それ以前から、自分の身を削って日本のために本当に頑張ってこられたことは事実でしょう。
でも時代のパラダイムシフトが起きて、今まで長い時間みんなの中にあった常識(性別、年齢、健康に関する自他への判断)があぶりだされ、私たち一人一人による社会変革が求められているように感じます。

医療のパラダイムシフト

医療のパラダイムシフトも40-50年と変革には時間がかっています。糖尿病で腎臓が使えなくなり森さんのように透析になる方がとても多い日本。問題を解決できていないなら、これまでのスタンダードな治療に間違いがなかったか、真摯に見直す時期に来ているのではないでしょうか。食事の乱れだけではなく、ストレスも直接的に血糖値を上昇させ、糖尿病の原因になることがわかっています。今後は、生きていくために歯を食いしばって頑張らなくても、自分にも、皆にも優しい、バランスの整った社会になっていくといいですね。

今週始まったNHKの大河ドラマ「天を衝け」で幼いおしゃべり好きの渋沢栄一くんが、そのバランスを「自分の心にきいて、自分だけでなく皆がうれしいことをするのがいいんだ!」と学んでいくところがよかったです。他の立場の人の気持ちを想像してみること。純粋で、シンプル、でもとても大切なことだと思いました。そういう人格の土台の上に、電気、鉄道など現代まで続く500社もの企業を立ち上げるといった大きな仕事が積み重なっていったのかもしれません。

昼食後の眠気

さて、昼食後、眠気に襲われる方も多いと思います。普通のことのようにいわれていますが、要注意です。「糖尿病」になる前には、自覚がなくても「低血糖症」になっている可能性が高いのです。糖尿病に至るまでの間に、血糖値変動がどのように変わっていくのかは、まだはっきりわかっていません。でも、食後の高血糖や血糖値スパイクが血管を傷めることはすでに明らかになっています。食事の内容やタイミングで予防対策が出来ますが、人によって代謝機能が違うので、血液検査をしてご自分の状態を確認しすることをお勧めします。

「低血糖症」(機能性低血糖症:Functional hypoglycemia 血糖調節異常)

日本の臨床現場ではまだまだ「低血糖症」について知られておらず、低血糖に伴った多様な症状を想像できない医療関係者も多いようです。低血糖になった後、自律神経が反応して血糖を上げようとホルモンを出し、様々な症状が出ます。血糖の仕組みは基本的な体のメカニズム。おとなしかった人がなぜあんなことを?という、アメリカの犯罪心理学から始まった「低血糖症」が日本の臨床で一般的な常識になるまで、これだけの長い時間がかかっているんですね。今日ご紹介する論文も、1993年のものです。

「低血糖症」の多様な症状

溝口先生の2013年のブログから、先生が最初に低血糖症を疑った患者さん(主訴は激烈な背中の痛み)についてのブログをご紹介します。

「低血糖症のメカニズムを勉強することになり自分にも適切な対応をするようになったと同時に、これまで期待した改善が得られなかった患者さんについても、血糖調節との関連についてを考えるようになりました。」

院長ブログでは非常に多くの「低血糖症」の症例が紹介されていますからぜひ見てみてください♪
手のふるえ、眠気、頭痛、かゆみ、咳、人格障害のような症状まで、本当に多様な症状が現れること。どんな症状であっても対策は、タンパク質の多い食事やビタミンB群などの栄養素などを使い、代謝を変え、食後すぐに運動を取り入れ、「血糖値を安定させること」のみであることに驚かれると思います。

スタンダードな治療 / オーソドクターの場合

「低血糖症」(機能性低血糖症、血糖調節異常)により、意識を失った方が救急車で運ばれた場合の、スタンダードな治療とオーソモレキュラー療法での治療について比較してみましょう。

・スタンダードな治療
救急隊員が倒れた人の血糖値を測定しても、低血糖ではなく、病院に着くころ(15分後)には意識が戻り始め、他の検査をしても何も異常はありません。そこで、ブドウ糖点滴などされるかもしれませんが、他に検査しても原因がみつからないので、「ストレスによるパニック発作でしょう。心療内科へ行ってお薬をもらってください。」ということになります。そして原因はわからないので、また発作を繰り返すかもしれません。

・オーソモレキュラー栄養療法
オーソドクターであれば、低血糖症症状であれば15-20分後には血糖値が自力で上がって戻り、意識が戻ることを想像できます。倒れる前に何を食べたり飲んだりしたか、または食べていないかについて訊き、きっかけとなった原因がわかれば、食事と運動の対策を指導をします。体質改善のために検査や、栄養素の処方を行うでしょう。原因がわかって対策を打っているので、発作の頻度が減ったり発作が起こらないようにできます。

意識がなくなるというとき、他に異常がないか検査して調べることはもちろん大切ですが、原因が分からなかったからといって「ストレスによるパニック発作」で片づけてしまうのはもったいないですね。適切な対策を打てば、改善を得られるのですから。

症状の出現が低血糖の時点と一致せず 症状が多様過ぎるため 血糖との関連がわからず「原因不明」とされる

臨床症状を観察できても、同時に血糖を測ると低血糖ではない症状については「血糖との関連はない。原因不明」とされてしまうのです。
非常にたくさんの症状があるなかで、それが低血糖症状なのか?自律神経症状なのか?
ということを整理し、見極めようとした研究がありましたのでご紹介いたします。

論文紹介 低血糖症の認識のメカニズム

1993年「糖尿病」という学会誌に載った研究で、アメリカの医学専門の学生10名を対象にした介入試験です。
糖尿病の患者さんが自分で打っているインスリンの量を間違えたりすると、知らず知らずのうちに重篤な低血糖症に陥ることがあります。それを起こさないように、予兆となる症状を認識することが出来ればよいのでは?ということを背景に研究がデザインされました。

低血糖の認識(これから低血糖になるぞ~という気づき 自覚)は、血糖値が低いことそのものに基づいているのか、それとも自律神経症状(低血糖により起こる自律神経の緊張)に基づいているのか、はたまたその両方に基づいているのか、これまでは不明でした。そこで、正常血糖値、低血糖、また機序の異なる薬を使って人為的に低血糖を引き起こし、生化学的指標を比較しています。

その結果、低血糖症の認識のメカニズムは神経糖減少症ではなく神経原性の知覚(主にコリン作動性)であること、つまり低血糖そのものではなく自律神経症状の知覚によるものであることが示されました。

・自律神経症状は(ムスカリン性コリン作動性メカニズム:汗をかく、空腹、チクチクする)
(アドレナリン作動性メカニズム:不安定/震える、心臓がドキドキする、不安/神経質)であることが示されました。
特に、ムスカリン性コリン作動性メカニズムである、汗をかく、空腹、チクチクするという症状が、
低血糖の自覚(これから低血糖になるぞ~という気づき)に関連しているということがわかりました。

・低血糖症状(血糖値が低いことによる症状)は(暖かい、弱い、思考困難/混乱、倦怠感/眠気)であると示されました。

このように、これまでどれがどれだかわからなかった、「自律神経症状」と「低血糖そのものの症状」の区別が明確になりました。私たちが「低血糖になりそうな感じ~」としている感覚は、実は低血糖そのものよりも、それに付随して起こる自律神経症状によるものだということが示されたのです。

「症状に血糖値が関わっている」ということが想像できれば、スタンダードな治療だけでなく、新しい効果的な対策を打てる。

身体の仕組みに基づく治療をもっと自由に受けられて、沢山の人が不調から抜け出し、本来の力を発揮できる世の中になっていくとよいですね!

Neuroglycopenic Symptoms / Neurogenic Symptoms

Neuroglycopenic/NeurogenicSymptoms

原著論文

Diabetes 42:1791-98, 1993
Towler DA, Havlin CE, Craft S, Cryer P. Mechanism of awareness of hypoglycemia. Perception of neurogenic (predominantly cholinergic) rather than neuroglycopenic symptoms. Diabetes. 1993 Dec;42(12):1791-8. doi: 10.2337/diab.42.12.1791. PMID: 8243825.
注)
※パラダイムシフト(英: paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラダイムチェンジともいう。
科学史家トーマス・クーンが科学革命で提唱したパラダイム概念の説明で用いられたものが拡大解釈されて一般化したものである。(ウィキペディアより)