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オーソモレキュラー栄養療法 (旧 新宿溝口クリニック)

みぞぐちクリニック

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2021.07.21

1924年の論文「高インスリン症は明確な症状:空腹感、脱力感、不安神経症などを伴う状態、病気の実体である」

暑くなってきましたね! みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 

コロナ禍になってから運動不足になり、食事が乱れて、やる気が出ない、頭痛が頻繁になったなど、何となく不調な方、自律神経失調の症状が出ている方もいらっしゃるかもしれませんね・・・。

自分ではちゃんと食事を摂っているつもりなのに、なんだか体調が良くない人が多いのが今の日本の現状です。そういう人はもしかしたら、血糖値の影響が出ているのかもしれません。血糖値を下げる唯一のホルモンがインスリンです。食事によって糖が体に入り血中の糖濃度が上がると、インスリンが膵臓から出て、血糖値を一定に保とうとします。ですが、インスリンが十分に出なかったり、インスリンで対応できる以上の糖が体に入ってきたり、体のインスリンに対する反応が弱くなったりすると、本来は一定に保たれているはずの血糖値が乱れます。

個人差がありますが、ご飯やパンや麺など糖質を多く食べて、運動しない場合は(食後すぐに運動すると、インスリンを使わずに筋肉が血糖を取り込んでくれます。)本来よりも血糖値が高くなるので、膵臓は慌てて多量にインスリンを放出し血糖を下げようとします。出てきたインスリンによって今度は急激に血糖値が低くなります。これが「食後低血糖」と呼ばれるのです。特にデスクワークが多い現代では食事による糖質過多で、余った糖質が体に悪さをすることの方が多いようです。

溝口先生いわく、「本来のインスリンの役割は血糖を細胞に取り込んで血糖値を下げるだけではなく、体内で毒性のある糖を安全な脂肪へと合成してエネルギーとして保管すること。からだのなかで使われる大切なタンパクを合成するときに必要なペプチドホルモンです。」と言っています。
https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html、血糖値の安定のための食事の摂り方、運動、ストレスマネジメント、できることからご自分の大事な臓器をいたわっていきたいですね!

 

 

今日は、みぞぐちクリニック学術部のお仕事の中で、当院の青山尚樹先生に教えていただいた、
世界で初めて「食後低血糖」の症例が報告された1924年の論文を紹介いたします!

1924年(大正13年)に米国シカゴの学会で話されたことのようです。
患者の訴えや血圧、血液検査などの観察から、体内で何が起きているか予測する症例報告です。
その中で、著者は長い経過で「ブドウ糖形成食品」(炭水化物、糖質のこと)を摂りすぎていると膵臓が疲れて適切に機能しなくなってくるのではないかと言っています。また、高インスリン症は、おそらく、明確な症状、低血糖が原因とされる症状:空腹感、脱力感、不安神経症などを伴う状態、病気の実体であると述べています。

そして、1924年当時から、糖尿病ではなくても、炭水化物を摂りすぎてインスリン分泌過多になり、自律神経失調症になる方が沢山いることを経験していたようです。

クリニックの5時間糖負荷検査(2021年7月現在は検査施行をお休み中です)では、インスリンが大量に出ているときに不安感を訴えてうろうろ歩き出す患者さんもいらっしゃいます。ご紹介する論文にもあるように「不安神経症」は過剰なインスリンが(低血糖、エネルギー不足で自律神経が緊張するため)引き起こす症状のひとつでもあります。

この論文に症例として度々登場する患者の訴え「もしも何も食べなければ死んでしまうのではないか?」は、多くの血糖調節異常を持つ患者さんがおっしゃることです。症例には「菓子パンが大好きな29歳の女性」が出てきて、昔も今もおなじだなーと思いました。
ちなみに溝口先生は低血糖の症状で死んでしまうのでは?という患者さんに対して「絶対死なないから大丈夫!」と伝えています。

もう亡くなっているはずのむかしの人の血液検査データがあると、まるでそこにその人がまだいるように感じます。論文の中には歴史的背景を感じさせるものもあり、現在に通じる人間らしいところもあり、とてもおもしろかったです。1924年のハリス先生(論文著者の先生)から、時代を超えたお手紙を読んでいるようなきもちになったスタッフです。

文章内に昔の言葉や医学用語として現在使われていないものもあるかもしれません。

また、原著論文に登場する治療法とみぞぐちクリニックの治療法とはずれがありますのでご了承いただければと思います。

 

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論文紹介

SEALE HARRIS, M.D. HYPERINSULINISM AND DYSINSULINISM
Harris S. Hyperinsulinism and dysinsulinism. J Amer Med Ass, 1924, 83, 729-733.

HYPERINSULINISM AND DYSINSULINISM

高インスリン血症(インスリン過剰症)とインスリン異常症

 

糖尿病とその高血糖は、インスリン分泌が欠乏した状態で起こるとされています。

しかしほかの臓器(甲状腺は低下症の前に亢進症になる事が観察されています。)と同じように、長い経過で膵臓のランゲルハンス島が働きすぎて肥大、多動により変性、萎縮し機能を失うことにより、最初はインスリン過剰分泌となり、しだいにインスリンが欠乏するのではないでしょうか。

血糖値が70以下になるとインスリン反応として知られる症状が出現します。
インスリン反応:空腹感、脱力感、不安神経症など。

著者は、糖尿病ではない人にもしばしば同じような症状があることに気が付きました。

 

下記にgoogle翻訳の抜粋をざっくりまとめましたのでご興味のある方はよろしければ読んでみてください。

 

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内容抜粋

 

・糖尿病とその高血糖は、インスリン分泌が欠乏した状態で起きるとされています。高血糖症が症状である糖尿病は、本質的には、ランゲルハンス島によるインスリンの分泌不足による状態であり、現代(1924年当時)の医学用語によれば、糖尿病は、低インスリン症と呼ばれるべきです。

したがって、「粘液水腫、またはクレチン病と(甲状腺機能低下症)と甲状腺との関係」と同じように、「糖尿病、または高インスリン血症と、膵臓の内分泌」とは同じ関係を持っています。甲状腺機能低下症だけが甲状腺の機能障害ではなく、その重要な臓器である甲状腺機能亢進症の「分泌過多」があることを私たちは知っています。

例えば、甲状腺機能亢進症と呼ばれる症候群では、「甲状腺機能亢進症が甲状腺機能低下症に先行することがあること」が観察されています。それと同じように、ランゲルハンス島の機能障害では、低インスリン症に加えて、インスリンの過剰な形成が発生する可能性があります。

高インスリン症は明確な結果を生み出すはずです。たとえば、血糖値の低下は、特定の制限である約0.070(70mg/dl)を下回ると、現在(1924年)は「インスリン反応」として知られている特徴的な症状を引き起こします。また、インスリン分泌の不足は、ランゲルハンス島の長期にわたる過度の働きに続いて起こる可能性があるようです。他の腺や臓器と同じように、肥大や多動の後には、変性、萎縮、喪失が続くことがあります。

私に考えさせたのはこの一連の推論でした。

高インスリン症などの症状があるかもしれないと思い、糖尿病患者さんのインスリン反応を見て、同じ症状を訴える非糖尿病患者さんがたくさんいることに気づきました。

・当時、専門家にきいてもこのことについての報告は動物実験でもヒトの症例でも皆無とのことでした。

 

冒頭の症例

・最初の患者は医師でした。1923年3月19日、高インスリン症の症状で相談を受けました。
「昼食の1時間前になると脱力感を感じ、神経質になり、とても空腹で働けなくなる」と言っていました。

彼はその症状がキャンディーを食べたり、ソフトドリンクや牛乳を飲んだり、果物を食べる、とにかくなにか食べることで楽になることに気が付いていました。そのときは、学会のランチョンの1時間前で、血糖値を調べるために血液検査をしました。65mg/dlでした。

5月15日、同じ時間に測ると70 mg/dlでした。(3月に)過体重だったのを11.3kg減量した他には変化はなく、バランスの良い食事と3時間ごとになにか食べることを指導されていました。
1年後、「1日5食の食事で調子が良い」と言っていました。

 

・1923年10月4日、7年間お腹のトラブルに悩まされている患者が来ました。
「私は食事の1時間前に毎日ものすごい空腹感に襲われます。もし何も食べなければ死んでしまうと感じるほどです。何かを食べると楽になります。そして食後3-4時間は快適に過ごせます。」

その症状が出るまで事務室で待ってもらい、お昼に血糖値は65 mg/dlでした。しっかり食事をしてから2時間後に戻ってきて、血糖値を測ると130 mg/dlでした。100gの糖負荷試験を受けていただきました。
試験が終わって郊外へ帰る時、脱力して歩行困難で家に帰るのに非常に大変でした。彼の奥さんがきて何かを食べさせてくれる前に死んでしまうと思い、意識は薄れて、食べるのも難しい状態でした。けれども食べた後には大丈夫になりました。

これらのケースでは耐糖能が低く、おそらく潜在的に糖尿病で、インスリン異常症だったのでしょう。

・その他、飢餓の患者(がんなど)では血糖値が正常に維持されていることなどが書かれていました。

・高インスリン症のケースレポートが、患者の詳細な既往歴、血液検査尿検査などの結果とともに、5症例紹介されていました。

 

結論

1.高インスリン症は、おそらく、明確な症状(例えば、低血糖症が原因であると説明されている症状)を伴う状態、病気の実体です。

2.高インスリン症の原因の1つは、ブドウ糖形成食品の過剰摂取であり、過食によって引き起こされた過活動の結果として、ランゲルハンス島が枯渇し、低インスリン症(糖尿病)がそれに続く可能性があります。高インスリン症でみられる空腹は、過食の原因である可能性があり、したがって、多くの場合糖尿病に先行する肥満につながる可能性があります。

3.インスリン分泌の増加または減少のいずれかであるインスリン異常症は、膵臓の感染または外傷によって引き起こされる可能性があると思われます。

4.過度の空腹は低血糖の症状であるため、通常の空腹は「ブドウ糖の必要性」の表現です。しかし、その「空腹」の一部または全体が膵臓由来であり、完全にからっぽの胃だけの表現ではない可能性があります。胃や十二指腸の潰瘍に関連して、膵臓の障害が共存している可能性があり、潰瘍を緩和する頻繁な摂食でブドウ糖を供給することによって、過機能のランゲルハンス島(インスリン分泌過剰)のニーズを満たしている可能性があります。潰瘍の1例では、低血糖が見つかりました。

5.低血糖の症状を示した非糖尿病患者2人を除いて、血圧の測定値が低いため、低アドレナリン症が高インスリン症と関連している可能性があります。ランゲルハンス島の分泌障害が関連している、甲状腺、下垂体およびその他の内分泌器官の機能障害の可能性もあるようです。

6.EWALD食 後の胃液の分画検査は、高インスリン症の症状を示す非糖尿病患者数名で行われ、結果はさまざまであるため、これらは胃の分泌障害と膵臓の機能不全との明らかな関係ではありません。

7.これらの症例では、膵臓の外部分泌に関する研究は行われていません。しかし、可能性としては、慢性膵炎はおそらくインスリン異常症の原因であるため、トリプシン、アミロプシン、およびステアプシンを分泌する腺が、機能の増加または減少のどちらかに関与していることがよくあります。

 

 

●原著論文PDFはこちら。

file:///C:/Users/user/Downloads/jama_83_10_002.pdf

SEALE HARRIS, M.D. HYPERINSULINISM AND DYSINSULINISM
Harris S. Hyperinsulinism and dysinsulinism. J Amer Med Ass, 1924, 83, 729-733.

HARRIS S. HYPERINSULINISM AND DYSINSULINISM. JAMA. 1924;83(10):729–733. doi:10.1001/jama.1924.02660100003002

●同じ著者の関連論文はこちら
SEALE HARRIS, M.D., HYPERINSULINISM AND DYSINSULINISM (INSULOGENIC HYPOGLYCBMIA), Endocrinology, Volume 16, Issue 1, 1 January 1932, Pages 29–42, 
https://doi.org/10.1210/endo-16-1-29
https://academic.oup.com/endo/article-abstract/16/1/29/2771360?redirectedFrom=fulltext