パラリンピックが終わって2週間が過ぎました。
大会中TVをつけると解説やアナウンサーの人たちがたびたび泣いていたのが印象的でした。うまく言葉にできないけれど強く伝わってくるものがありました。スタッフは、生まれて初めてパラリンピック選手のプレーをみたり、彼ら彼女らのインタビューをきいて、自分の中の「壁」、「思い込み」を打ちくだかれ、目を開かされる思いがしました。
オリンピックよりも予算が少ないはずなのに、開閉会式もすばらしかった。コンセプトが大会を通じて、ひとりひとりのパラリンピアンやスタッフ、関係者にも貫かれているようにみえました。
・“WE HAVE WINGS”
~パラリンピックに出場するアスリートたちは知っています。
風がどの方向に吹いていようと、それを人生の力に変えられることを。
勇気を出して「翼」を広げることで、思わぬ場所に到達できるということを。
・“Harmonious Cacophony”
~違いがあることで対立が生じるのではなく、
新たな未来が生まれていきます。
車いすラグビーやバスケ、ボッチャがとてもおもしろかったです。タイではボッチャの選手は国民的な人気者だそうですが、とても興奮させられるゲームだったので納得です。普段あまりかかわることのない、話すときに顔がゆがんだりスピードも遅い脳性麻痺の選手が、頭を使った知的なプレーで観客を魅了していました。
脳性麻痺のひとには知的障害がないひとが多いことをはじめて知りました。この知識は自分と脳性麻痺のひととのかかわり方を変えると思います。
マラソン、自転車と高齢の選手も多く「どん底に落ちたら、あとは上がるだけ。」など、心に響き励まされる言葉もたくさんありました。「パラリンピックはその後の社会を変える」といわれているそうです。この大会から見えてきたこと、社会が得たものは大きいと思います。目覚ましい活躍をみせたパラアスリートの皆さんが栄養療法を取り入れたらもっと強くなるのでは?!と思っています♪
一方、オリンピック・パラリンピックは完全に歓迎されたわけではなくコロナ禍の様々な制約を受けて「どうしてわたしたちだけが我慢しないといけないのか?」と不満を募らせる人たちが多くいます。緊急事態宣言、GoToやオリパラ、と新しいウイルスや経済落ち込みに対応するための、矛盾する政策に振り回された感もあります。
ステイホームといわれても、自分の家が安心安全な場所ではないひとたちもいます。様々な要因で自殺者や虐待なども増えてしまいました。昨年、最初の緊急事態宣言下では自殺者数は減っていたそうですが長引く感染拡大の影響を受けて自殺者数が増えているようです。
論文: 新型コロナウイルス感染拡大下で自殺者数はどのように変化したのか
この論文の著者たちの試算によると、20年3月から21年5月末までに自殺者は過去の推移に比べて約3200人増え、このうち失業率の悪化が影響したのは約1200人とみています。
論文を読んで疑問が生まれました。コロナ禍自殺の中で失業が影響していたのは1200人、それ以外の2000人は何が影響していたのか?コロナ感染拡大のなかでそれまでと変化したことは何だったか?栄養療法的な視点でみるとどうだろう?
失業などの精神的なショックだけではなく、環境の変化によるストレスは、私たちの体の代謝に大きな影響を与えます。たとえば、コロナ禍で出勤や外出が減ったことで、運動不足になり筋力が低下したり、ステイホームで手軽な糖質に偏った食生活に変化し、血糖調節異常(食後3-4時間で不調、朝方や夕方などの眠気やだるさ、動悸、不安感)、それにともなう自律神経失調(なんとなくいつも不調)が起こることが考えられます。これについては以前のブログにも書いています。
これらの症状は精神疾患に似ていますが、原因がはっきりしているため、そこを調整すると1か月ほどで回復することが多いのです。
ポイントは2つ
・血糖変動を大きくしない、高タンパクで低糖質の食事を中心に。
・食後すぐの運動で筋肉を動かしインスリンを過剰に出させない。
これだけでよくならない場合、栄養療法を行う医療機関で、詳細な血液検査をして足りない栄養素を至適量を補うことや、消化機能など個人に合わせた細やかな食事の調節をおすすめします。
死にたいほど落ち込んだ時に、食事や栄養を振り返ることは難しいかもしれないですが、立ち直るためのひとつの強力な方法だとわたしたちは信じています。
「栄養療法なんて医者のすることじゃない」
「精神症状や自殺に食事が関係するはずがない」
このような医療における高い「壁」、「思い込み」を打ちくだき、社会の目を開くような仕事をしていきたい。そのためにはまず自分の中の壁や思い込みを打ち砕いて、目を開く。
パラリンピアンの影響を受けてスタッフは今、思いをあらたにしています。