めまい、眠気、頭痛の低血糖症治療はみぞぐちクリニック

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低血糖症(血糖調節障害)

オーソモレキュラー栄養療法からみた低血糖症(血糖調節障害)について

低血糖症(血糖調節障害) イメージ

血糖値は、食べ物や飲み物に含まれる糖質の摂取によって上昇し徐々に空腹時の血糖値まで低下します。その変動はおよそ80~140㎎/dlに調節されています。
しかし糖尿病では、空腹時の血糖値が110㎎/dl以上になり、食後の血糖値が200㎎/dlを超えるようになります。

内科などの一般的な診療科では、糖尿病でなければ血糖の調節は正常であると判断しています。
ところが実際は、糖尿病という診断に至るまでに血糖値の調節が通常の範囲内で難しくなり、血糖値が低くなってしまったり、急激な血糖の変動を起こすようになります。 そして、そのときに様々な症状が起こり不調を感じます。
このように、血糖値の調節がうまくいかず下がりすぎたり、急激な変動を起こす状態を低血糖症(血糖調節障害)と呼びます。

低血糖症(血糖調節障害)は、通常の医療機関では診断されることがありません。
血糖値の調節不良によって起こっている症状が、他の病気と診断されたり、精神的なものであると言われたり、異常なしと判断されてしまうことがよくあります。

※注:低血糖症(血糖調節障害)はその名前から、血糖値が低くなってしまう病気と思われがちですが、血糖調節をする力が弱くなっている状態(血糖値が低くなることも含む)を指します。また、ここで扱う病態は、糖尿病治療をしている方が起こす低血糖とは違うものです。

低血糖症(血糖調節障害)で起こる症状には、血糖値が下がりすぎることによって生じる症状と、血糖値の低下を防ごうとして分泌される様々なホルモンなどによる自律神経症状があります。

低血糖によって生じる症状
  • 暖かいと感じる
  • 眠気
  • 空腹
  • 脱力感
  • 気が遠くなる
  • 思考力低下
  • めまい感 など
低血糖を防ぐための自律神経症状
  • 動悸
  • 冷汗
  • 不安感・神経過敏
  • 震え
  • ぴりぴり・チクチク
  • 筋肉のこわばり
  • 頭痛 など

低血糖症にはこのように多くの症状があり、低血糖症特有の症状がありません。
さらに糖尿病でなければ血糖の調節は正常であるという一般の医療での思い込みがあるため、低血糖症の患者さんの多くは、不安障害、パニック障害、うつ病、筋緊張性頭痛、自律神経失調症などと診断され、症状を軽減させる多くの薬剤が処方されることになります。

オーソモレキュラー栄養療法での検査と診断について

血糖値は食べ物や飲み物の摂取によって上昇し、その後は血糖調節に関与する多くのホルモンの分泌によって常に低血糖を防ぐように調節されています。
そのため低血糖症によって生じる症状を自覚し医療機関を受診したときに行われる血液検査では、低血糖はすでに補正され血糖値は正常にもどっているため正確に診断されることはありません。

みぞぐちクリニックでは、2003年に新宿溝口クリニックとして開設されてから低血糖症に注目し多くの患者様へ5時間糖負荷検査をおこない低血糖症を診断してきました。
近年になりフリースタイルリブレなどの機器が開発され、24時間の血糖変動を容易に測定することが可能となり、特定の条件ではなく日常生活における食事との関係や睡眠中の血糖の変動を把握することができるようになりました。

みぞぐちクリニックでは、この機器を利用し2週間の血糖変動と食事や運動などの生活習慣と血糖の変動について検査をしています。

検査 イメージ

5時間糖負荷検査

糖尿病の診断では、75gのブドウ糖を摂取し2時間の血糖の変動を測定します。
みぞぐちクリニックで行っている低血糖症の診断のための糖負荷検査では75gのブドウ糖を摂取し5時間検査を行います。

実際には、10時間以上絶食した午前9時半に空腹時の検査を行い、血糖値、インスリン値、HbA1c、グリコアルブミン、1,5-Agなどの項目を測定します。
そして、75gブドウ糖を摂取し、15分・30分・60分・90分・120分・150分・180分・240分・300分の合計10回少量の血液を採取し血糖値とともにインスリン値を測定します。
(※静脈内留置針を使用するため、針を刺すのは最初の1回だけです)

また、自律神経の反応をみるために血液採取時の体温・血圧を測定し、同時に自覚する様々な症状を自由記載していただきます。

5時間糖負荷検査では、血糖の変動だけでなくインスリンを測定することが特徴です。
インスリンの分泌パターンは、自律神経症状と深く関係しており、インスリンを測定することで血糖値が正常なときでも低血糖症の様々な症状が出現するのを説明することが可能になります。
また、自覚症状を記載することで、患者様もつらい症状と血糖やインスリンの変動との関係を理解することが可能となり、食事の工夫などで対応可能であることを知ることになります。

5時間糖負荷検査のグラフはいくつかのパターンに分類することができます。

正常な5時間糖負荷検査の結果
正常な5時間糖負荷検査の結果
  • 血糖値:○の折れ線グラフ
  • 体温:●の折れ線グラフ
  • インスリン:棒グラフ

90㎎/dl前後の空腹時血糖から75gのブドウ糖を摂取によって血糖は60分後に160㎎/dlを超えることなく145㎎/dlまで上昇しています。
その後、血糖は緩やかに低下し180~240分後に最低を記録し、300分でもとの値にもどっています。
血糖値が一度下がった後に、何も食べていなくても自力で血糖値をもどせるかどうかは、様々な症状と深く関係しています。
120分の糖負荷検査では血糖調節能力を十分評価することができないため、みぞぐちクリニックでは5時間の糖負荷検査を施行しています。

反応性低血糖症のグラフ
反応性低血糖症のグラフ

このグラフは過食・うつ症状・肥満などの改善を目的に受診された20歳代の女性の患者様の結果です。
正常な空腹時血糖ですが、75gのブドウ糖を摂取したところ血糖値は200㎎/dl以上となり、その後急激に血糖値は低下し4時間後には空腹時血糖をはるかに下回る36㎎/dlまで低下しています。
この急激な血糖の低下と実際の低血糖は強い食欲を刺激し過食の原因となり、重度の低血糖はうつ症状の原因にもなります。

無反応性低血糖症のグラフ

通常では75gのブドウ糖を摂取することによって血糖値は140㎎/dl前後まで上昇します。無反応性の低血糖症では、ブドウ糖を摂取しても血糖の上昇が起こりません。
このような状態では、食事を摂取しても元気にならず強い疲労感や抑うつ感を終日自覚することが多くなります。

みぞぐちクリニックの経験では、無反応性低血糖症の患者様は20歳未満を含む若い方に多く、朝起きられず学校や会社へ行くことができないことが多くあります。

起立性調節障害やうつ病、適応障害などと診断されている場合には無反応性低血糖症のことが多く、無反応性低血糖症では夕方になると比較的元気になることもあるため、医療スタッフからだけでなく家族や学校、職場などの周囲からも理解されずストレスになることも多くあります。

無反応性低血糖症のグラフ

このグラフは、うつ病と診断されていた20歳代の女性の患者様の結果です。
16歳頃から朝起きることができなくなり日中に強い疲労感と抑うつ感を伴うようになりました。
18歳時にうつ病の診断となり抗うつ剤が処方されるようになりました。明らかな効果が得られず徐々に薬が増えてきたため他の治療を探しオーソモレキュラー栄養療法を知ることになりました。

乱高下型低血糖症のグラフ
乱高下型低血糖症のグラフ

正常な空腹時血糖で75gのブドウ糖摂取によって正常な血糖の上昇が得られています。
この正常な血糖上昇にたいしてインスリンが過剰に分泌していることから血糖は急激に低下しブドウ糖摂取の60分後には空腹時血糖の近くまで低下します。

ブドウ糖を摂取したにもかかわらず、すぐに血糖が低下していることから多くのホルモンの作用によって再び血糖が上昇し150分後に2回目の血糖値のピークを形成します。
このような乱高下型の低血糖症では、様々なホルモンを分泌し低血糖を防ごうとします。

それらのホルモンには、アドレナリンやコルチゾルなどが含まれているため、アドレナリンによる動悸や緊張、手足のしびれや筋肉のこわばり頭痛、コルチゾルの頻繁な分泌によるニキビなどの皮膚のトラブルや肥満、副腎疲労の原因にもなります。

随時血糖測定検査(フリースタイルリブレpro医療機関用)

みぞぐちクリニックでは、低血糖症の正しい理解のため2006年頃から日常生活をしながらの持続血糖測定のための機器を揃え検査してきました。

その当時は、プラスチックの針を皮下に留置し国語辞典のような大きさと重さの機械をぶら下げて、皮下の針から体液を吸引しブドウ糖濃度を測定していました。
1日に5回実際の血糖値を測定しキャリブレーション(機器の校正)をしなくてはならず、しかも検査は72時間が最長でした。
検査を受ける患者様はお風呂に入ることができず、常に大型の機械をぶら下げての活動でもあり大変ご苦労されたと思います。

近年になり技術の進歩は目覚ましく、入浴、運動なども可能なフリースタイルリブレなどの機器が開発され睡眠中を含めた24時間の持続血糖を容易に測定するこが可能となりました。

みぞぐちクリニックでもフリースタイルリブレproを導入し2週間の血糖変動をプリントアウトし、食事・運動・ストレスなどと血糖変動の関係についてモニタリングしています。
その結果、夜間低血糖になっている場合の睡眠のトラブルとの関係や、同じ糖質量においても食材の違いによって血糖値の上昇が全く異なることなども知ることが可能となりました。
この検査方法では、自律神経と深く関係するインスリンについて測定することができませんが、食事・運動・睡眠・ストレスなどと血糖関係を知ることができる大変有効な検査方法です。

随時血糖測定検査(フリースタイルリブレpro医療機関用)のグラフ

このグラフは40歳代女性で、朝起きるのが辛く午前中の倦怠感を主訴に来院されました。フリースタイルリブレの結果では、夜間~早朝~午前中に血糖値が80㎎/dl以下になる低血糖の時間帯があります。下段の午後は糖質を多く含む昼食による食後高血糖を示します。

このように夜間低血糖によって睡眠の質が低下し朝起きにくなどの症状では、通常の睡眠導入剤などによって眠りを改善しようとしても改善が得られず、睡眠薬などの依存を作ることにもつながります。

「5時間糖負荷」と「随時血糖測定検査」の比較
5時間糖負荷 随時血糖測定検査
メリット インスリン測定可能。
医師の指示により医療用サプリ購入可能。
睡眠中、日常生活での血糖変動がわかる。
実際の食生活の中での血糖変動を調べることができる。
糖質量の変化でどの程度血糖変化があるか、実験的に調べることができる。
デメリット 院内で5時間かかる。
急激な血糖変動により検査後不調を感じることがある。
インスリン測定不可。
2週間食事、体調記録が必要。
体液で測定するため血糖値との誤差がある。
おすすめする人 血糖の変動を詳しく知りたい人。
自律神経症状が強い人。
食直後の不調がある人など。
簡便に検査したい人(センサー装着時のみ来院、検査後はセンサー郵送可)。
夜間、早朝に不調のある人。
備考 結果は必ず医師からの説明(別途6,600円)が必要。 検査のみも可能、希望時は医師からの診察(別途6,600円)を受けることができる。診察後、医師の指示により医療用サプリ購入可能。

当院での治療について

低血糖症は治療が可能です。
症状が出ているままの食生活を続けていると、血糖調整能力が落ちていき、更に症状がひどくなる可能性があるため、食生活を見直し血糖調節能力を上げていくことが大切です。

治療 イメージ
治療のポイント

目標
血糖スパイク(急激な血糖値の変動)を作らないような食事をし、食後穏やかに血糖が推移するようになる

食生活の見直し
血糖スパイクを作りやすい食事は自律神経を乱し、低血糖症の症状を悪化させます。また、糖質の代謝に必要な栄養を消費し、二次的な症状を引き起こす可能性もあります。(例:睡眠の質の低下、メンタル症状、胃腸の不調など)
血糖変動を起こしにくい食事内容に変更し、日々の症状を出にくくすることが大切です。(糖質制限、タンパク代謝を整える、エネルギー確保、食べる順、時間帯など)
※糖質制限の程度は個人差があるため、いきなり極端な変更はせず個々に合った方法を選ぶ必要があります。

自律神経を安定させ、血糖調節能力を上げていく
血糖の変動の仕方は個人差があります。血糖調節能力が上がると、同じものを食べても血糖の変動が緩やかになり、症状は出にくくなります。
自律神経の安定、血糖調節能力には、栄養状態が大きく関係しています。
※治療をご希望の方には、栄養解析の採血をして今の栄養状態を知り、食生活の改善、不足している栄養を補うことをおすすめしています。

料金(目安)

5時間糖負荷検査
24,200円
血糖値とインスリン等の変動を5時間にわたり調べる検査
随時血糖測定検査(フリースタイルリブレpro医療機関用)
24,200円
日常生活における血糖値の変動を調べる検査(1週間以上2週間まで)
初回基本プラン
52,800円
初回基本プランに含まれるもの
・詳細な血液検査+栄養解析レポート
・診察料 5回分

※追加検査が発生する場合があります。追加検査の料金の詳細などは診療料金をご覧ください。

月々のサプリ代
2万円~6万円

記事執筆者

溝口徹 画像

医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長

溝口 みぞぐち とおる

所属・資格

  • 栄養解析医
  • 栄養解析レポート監修
  • 社)オーソモレキュラー栄養医学研究所 代表理事
  • 日本抗加齢医学会 評議員
  • 2018年国際オーソモレキュラー医学会 Hall of Fame
  • 2020年第2回日本オーソモレキュラー医学会総会 会頭
  • 栄養療法ブログ
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