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慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)は、特定の原因によって生じる病気ではなく疲労を症状の中心とした疾患概念であるとされています。
日本では、旧厚生省が研究班を作り病態解明と診断基準の作成を試みました。多くの専門家や研究者が病態解明に取り組んだものの、統一した見解を得ることができず明確な治療法も示すことができませんでした。
みぞぐちクリニックで最も多く相談いただく症状の一つが疲労感です。慢性疲労症候群と診断されていない患者さんでも、疲労は共通する症状の一つであり、通常の医療機関では治療対象とされないことからも放置されることになります。
通常の治療では、明確な原因が特定できないためうつ病の症状として抗うつ剤などを処方されることが多くあります。また慢性疲労症候群のように疲労が主な症状である場合には、睡眠のトラブルを伴うことも多く睡眠導入剤も処方されていることがあります。
これらの処方薬によってどうにか日常生活や睡眠を維持できていても、軽度のストレスや身体活動が増えることによって疲労が増悪し日常生活の維持が困難になります。
オーソモレキュラー栄養療法では、詳細な血液検査と問診によって栄養素の不足やバランスの乱れ、さらに血糖値の変動、副腎疲労や甲状腺のトラブルとの関連、ピロリ菌感染による栄養障害などを把握し、症状との関係が強いと予想されるものから対応していきます。
例えば、正常の血糖のコントロール(図1)が維持できない状態である低血糖症のうち、無反応性低血糖症の場合にはグラフ(図2)のようにブドウ糖を摂取しても血糖値の上昇が得られず、とても強い疲労感とときに抑うつ感を自覚します。
【図1】
【図2】
オーソモレキュラー栄養療法では、慢性疲労症候群や線維筋痛症など、疲労や体のこわばり痛みなどを主訴する場合には、詳細な血液検査や糖負荷検査などの情報から、個々の患者さんの代謝状態に合わせた食事指導を行い、改善に必要な栄養素の種類と量を選択します。
そして定期的な検査を行うことによって、症状だけでなく代謝やエネルギー産生の状態を把握し、その時に最適な運動の指導などを行うことでQOLを高めます。
初回基本プラン |
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52,800円 初回基本プランに含まれるもの ・詳細な血液検査+栄養解析レポート ・診察料 5回分 |
※追加検査が発生する場合があります。追加検査の料金の詳細などは診療料金をご覧ください。
月々のサプリ代 |
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2万円~6万円 |
慢性疲労症候群とは、身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感(疲れ)が6ヶ月以上の長期間続く状態をいいます。
以前から米国には慢性疲労症候群(CFS)という病名を変えたいという声がありました。fatigue(疲労)という用語が米国では「怠け者」と誤解されるというのです。そのために英国学派が使っている病名、筋痛性脳脊髄炎(myalgic encephalo-myelitis:ME)と一緒にして、慢性疲労症候群:CFS/筋痛性脳脊髄炎:MEと言うのが一般的でした。
その後2015年、全米科学アカデミー(NAS)の1部門である米国医学研究所(IOM)により、慢性疲労症候群という病名はstigmatization(汚名を着せられること)、trivialization(軽視すること)という意味に取られるから、全身性活動(労作)不耐症(Systemic Exertion Intolerance Disease:SEID)と病名を変更しました。
米国では、実に25%もの人が慢性的な疲労(疲れ)があると報告していますが、慢性疲労症候群の条件を満たす人はその内わずか0.5%(200人に1人)です。この症候群は主に20~50歳の人で見られ、男性よりも若年の女性や中年の女性でより多くの記述がありますが、小児を含むどの年代の人でも認められています。また、几帳面、真面目、正義感の強い性格などの方が発症しやすいと言われています。
多くの研究が行われているにもかかわらず、慢性疲労症候群の原因は分かっていません。原因が1つなのか複数なのか、身体的なものか精神的なものかなどについて議論が続いていますが、いずれにしても現れる症状はその人にとって本物かつ現実のものです。
この症候群には最終的に、遺伝的素因、微生物や毒素への曝露、その他の身体的・精神的要因など、複数の原因があることが判明するだろうと考えている研究者もいます。
一部の研究では、慢性疲労症候群の可能性のある原因として、エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス、ライム病を引き起こす細菌、カンジダ(真菌)による感染が示唆されていました。しかし、現在の研究では、このような感染は原因ではないことが示唆されています。
加えて、他の感染症(例えば風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]によるもの)がこの症候群に関連していることを示す証拠も存在しません。
免疫システムの軽微な異常が原因である可能性があります。包括的に免疫調節異常と呼ばれているものです。
ただし、どの異常もこの症候群に特有の特徴を示しているものはありません。慢性疲労症候群の患者は免疫システムに医学的に深刻な問題がみられるわけではありません。
アレルギーが原因であることを示す証拠はありませんが、患者の約65%はアレルギーの既往を報告しています。内分泌の病気や、精神障害の中で、慢性疲労症候群の原因であることが示されたものはありません。
慢性疲労症候群は家族性の病気と考えられており、このことは、この症候群が遺伝的な要素や環境的な要素によって引き起こされることを裏付けている可能性があります。
ただ、同じ家族では身体的ストレスや精神的ストレスに対する反応が似通っていたり、同じような物質にさらされているという可能性もあります。
慢性疲労症候群は多くの場合、ストレスになる出来事の後で通常は突然発症しますが、発症前には上手く生活できており、機能的にも問題がなかったケースがほとんどです。
主な症状は疲労(疲れ)です。
この疲れは日常生活に支障があるほど重度で、通常6ヶ月以上続きます。
朝起きた時からひどい疲れを感じ、それが1日中続きます。
この疲労は、しばしば身体活動や精神的ストレスを感じているときに悪化します。
ただし、筋力の低下、関節や神経の異常などの証拠がみられることはありません。
ウイルス感染症様の症状が出ているときかその後で極度の疲れが生じ、発熱、鼻水、リンパ節の痛みや圧痛が伴います。
しかし多くの人では、先にウイルス感染様の症状が出ることなしに疲れが現れ始めます。
そのほかに、集中力の低下、不眠、喉の痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、腹痛などの症状が現れることもあります。
抑うつがよくみられます。
特に症状が重度であるか、悪化しつつあるときにその傾向があります。
症状には、関連疾患である可能性がある線維筋痛症と重なる部分がしばしばみられます。
慢性疲労症候群の診断を確定できる臨床検査はありません。
そのため慢性疲労症候群を疑った場合、まずは内科受診をお勧めします。
内科でよく似た症状を引き起こす可能性のあるほかの疾患を否定する必要があります。
貧血、電解質異常、腎不全、炎症性疾患(例えば関節リウマチ)、心疾患、睡眠障害、甲状腺や副腎の疾患などを否定するために血液検査や心電図などを行います。
身体的な病気の可能性がないとされた場合は、次に心療内科・精神科を受診しうつ病などの精神疾患を除外します。
慢性疲労症候群の診断が下せるのは、薬の副作用も含め、この疲労やほかの症状を説明できる他の原因が見つからなかった場合に限られます。
2015年全米科学アカデミー(NAS)の1部門である米国医学研究所(IOM)により、この体力を奪う疾患の妥当性を認め、診断基準を簡素化しました。診断基準では次の3つの症状が認められる必要があります。
また、次の症状のうち少なくとも1つが認められる必要もあります。
症状の頻度と重症度は医師が評価する必要があります。これらの症状が50%以上の期間において中等度、かなり、重度の度合いでみられなければ、医師は慢性疲労症候群の診断を再検討します。
慢性疲労症候群の症状は多くの場合、時間の経過につれて軽減していきます。
ただし、症状が消失するまでには何年もの年数がかかることが多く、またすべての症状が消失するわけでもありません。
患者さんは、どの機能が失われたのかという点よりもどの機能を取り戻せるのかという点に集中したほうが、回復の度合いが上がる可能性があります。
医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長