慢性疲労症候群・疲れ・だるさ | みぞぐちクリニック | 東京駅八重洲北口・日本橋駅5分

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慢性疲労症候群とオーソモレキュラー栄養療法

慢性疲労症候群をとりまく現状

慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)は、特定の原因によって生じる病気ではなく疲労を症状の中心とした疾患概念であるとされています。
日本では、旧厚生省が研究班を作り病態解明と診断基準の作成を試みました。多くの専門家や研究者が病態解明に取り組んだものの、統一した見解を得ることができず明確な治療法も示すことができませんでした。
みぞぐちクリニックで最も多く相談いただく症状の一つが疲労感です。慢性疲労症候群と診断されていない患者さんでも、疲労は共通する症状の一つであり、通常の医療機関では治療対象とされないことからも放置されることになります。
通常の治療では、明確な原因が特定できないためうつ病の症状として抗うつ剤などを処方されることが多くあります。また慢性疲労症候群のように疲労が主な症状である場合には、睡眠のトラブルを伴うことも多く睡眠導入剤も処方されていることがあります。
これらの処方薬によってどうにか日常生活や睡眠を維持できていても、軽度のストレスや身体活動が増えることによって疲労が増悪し日常生活の維持が困難になります。

当院での慢性疲労症候群の治療法

オーソモレキュラー栄養療法では、詳細な血液検査と問診によって栄養素の不足やバランスの乱れ、さらに血糖値の変動、副腎疲労や甲状腺のトラブルとの関連、ピロリ菌感染による栄養障害などを把握し、症状との関係が強いと予想されるものから対応していきます。

例えば、正常の血糖のコントロール(図1)が維持できない状態である低血糖症のうち、無反応性低血糖症の場合にはグラフ(図2)のようにブドウ糖を摂取しても血糖値の上昇が得られず、とても強い疲労感とときに抑うつ感を自覚します。

【図1】

【図2】

慢性疲労症候群治療例

20歳 男性

中学1年(14歳)頃より発症

  • 中学1年(14歳)頃より発症
    ・朝起きられない
    ・順序だてた考えができない、記憶がとんでしまう
    ・頭痛がする、首や背中がこわばる
    ・根気がない、怒りっぽくなり性格が変わった
    ・学校へ行けない
  • 中学時代は、内科や小児科を受診し漢方薬などを処方されていた
  • スクールカウンセラーから精神科受診をすすめられ抗うつ剤などを処方されたが効果なく、睡眠薬で眠れるようになったが、朝起きるのが辛く日常生活の維持が困難

5時間糖負荷検査

検査結果の解説
  • 75gのブドウ糖摂取の30分後には血糖値の上昇を認めるが、血糖値を下げるインスリンの量が多い
  • その結果、ブドウ糖摂取60分後には空腹時時より30㎎/dlも血糖値が下がり、その後低血糖を持続している
実際の治療経過
  • 血糖値の上昇によるインスリン過剰分泌を抑制することが、その後の低血糖を防ぐために重要であるため糖質の摂取量と摂取方法を指導
  • ブドウ糖を吸収する小腸やインスリン分泌を行う膵臓の機能を整えるため、グルタミンや亜鉛などの栄養素を補給
  • アミノ酸や脂肪酸などからもエネルギーが十分に作ることができるよう、ビタミンB群やナイアシン、マグネシウムなどを補充
症状の経過
  • 6ヶ月後、大学へ復学が可能となる
  • その後、オーソモレキュラー栄養療法を継続し社会人となる
  • 現在ビタミンB群とナイアシンのみ継続して服用している

34歳 女性

病歴

  • 24歳頃から強い疲労感を自覚
  • 朝起きることが困難になり、日常生活でも疲労感を自覚するようになり仕事を退職
  • 26歳時、うつ病の診断となり2種類の抗うつ剤と睡眠導入剤を処方され服用
  • めまい、たちくらみ、良く風邪をひく、月経前の気分の変動が大きい
  • 背中や首などが常にこわばり痛みをともなうため、線維筋痛症の疑いと言われたことがある

検査結果の推移

検査結果の解説
  • 初診時の検査結果では、通常の基準値による評価では特に問題は指摘されないが、オーソモレキュラー栄養療法的に理想的な栄養状態と比較することによりビタミンB群の不足と潜在性鉄欠乏、さらにタンパク質代謝の低下を認める
  • さらに副腎の過緊張状態によりDHEA-sが高値となりその影響で好中球優位の白血球増加を認め、この変化は筋肉の緊張を増し痛みの原因と考えられる
  • タンパク質の適正量摂取と血糖値の安定化、さらにビタミンB群、ヘム鉄、ナイアシン、ビタミンCなどを補充することよって徐々に検査結果が改善、交感神経の過緊張状態も改善し自律神経が安定している
症状の経過
  • 7ヶ月後より屋内での軽い運動が可能となる
  • 鉄の補充によりめまいや月経前の気分の変動が改善
  • 睡眠が安定し、徐々に抗うつ剤や睡眠導入剤が不要となる
  • 外出も可能となり翌日の疲労感の増悪もなくなる

オーソモレキュラー栄養療法では、慢性疲労症候群や線維筋痛症など、疲労や体のこわばり痛みなどを主訴する場合には、詳細な血液検査や糖負荷検査などの情報から、個々の患者さんの代謝状態に合わせた食事指導を行い、改善に必要な栄養素の種類と量を選択します。
そして定期的な検査を行うことによって、症状だけでなく代謝やエネルギー産生の状態を把握し、その時に最適な運動の指導などを行うことでQOLを高めます。

慢性疲労症候群治療の料金(目安)

初回基本プラン
52,800円
初回基本プランに含まれるもの
・詳細な血液検査+栄養解析レポート
・診察料 5回分

※追加検査が発生する場合があります。追加検査の料金の詳細などは診療料金をご覧ください。

月々のサプリ代
2万円~6万円

一般的な治療法

慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome:CFS)とは

慢性疲労症候群 イメージ

慢性疲労症候群とは、身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感(疲れ)が6ヶ月以上の長期間続く状態をいいます。
以前から米国には慢性疲労症候群(CFS)という病名を変えたいという声がありました。fatigue(疲労)という用語が米国では「怠け者」と誤解されるというのです。そのために英国学派が使っている病名、筋痛性脳脊髄炎(myalgic encephalo-myelitis:ME)と一緒にして、慢性疲労症候群:CFS/筋痛性脳脊髄炎:MEと言うのが一般的でした。

その後2015年、全米科学アカデミー(NAS)の1部門である米国医学研究所(IOM)により、慢性疲労症候群という病名はstigmatization(汚名を着せられること)、trivialization(軽視すること)という意味に取られるから、全身性活動(労作)不耐症(Systemic Exertion Intolerance Disease:SEID)と病名を変更しました。

米国では、実に25%もの人が慢性的な疲労(疲れ)があると報告していますが、慢性疲労症候群の条件を満たす人はその内わずか0.5%(200人に1人)です。この症候群は主に20~50歳の人で見られ、男性よりも若年の女性や中年の女性でより多くの記述がありますが、小児を含むどの年代の人でも認められています。また、几帳面、真面目、正義感の強い性格などの方が発症しやすいと言われています。

慢性疲労症候群の原因

多くの研究が行われているにもかかわらず、慢性疲労症候群の原因は分かっていません。原因が1つなのか複数なのか、身体的なものか精神的なものかなどについて議論が続いていますが、いずれにしても現れる症状はその人にとって本物かつ現実のものです。
この症候群には最終的に、遺伝的素因、微生物や毒素への曝露、その他の身体的・精神的要因など、複数の原因があることが判明するだろうと考えている研究者もいます。

感染性疾患

一部の研究では、慢性疲労症候群の可能性のある原因として、エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス、ライム病を引き起こす細菌、カンジダ(真菌)による感染が示唆されていました。しかし、現在の研究では、このような感染は原因ではないことが示唆されています。
加えて、他の感染症(例えば風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]によるもの)がこの症候群に関連していることを示す証拠も存在しません。

免疫学的異常

免疫システムの軽微な異常が原因である可能性があります。包括的に免疫調節異常と呼ばれているものです。
ただし、どの異常もこの症候群に特有の特徴を示しているものはありません。慢性疲労症候群の患者は免疫システムに医学的に深刻な問題がみられるわけではありません。
アレルギーが原因であることを示す証拠はありませんが、患者の約65%はアレルギーの既往を報告しています。内分泌の病気や、精神障害の中で、慢性疲労症候群の原因であることが示されたものはありません。

遺伝および環境に関する要因

慢性疲労症候群は家族性の病気と考えられており、このことは、この症候群が遺伝的な要素や環境的な要素によって引き起こされることを裏付けている可能性があります。
ただ、同じ家族では身体的ストレスや精神的ストレスに対する反応が似通っていたり、同じような物質にさらされているという可能性もあります。

慢性疲労症候群の症状

慢性疲労症候群の症状 イメージ

慢性疲労症候群は多くの場合、ストレスになる出来事の後で通常は突然発症しますが、発症前には上手く生活できており、機能的にも問題がなかったケースがほとんどです。
主な症状は疲労(疲れ)です。
この疲れは日常生活に支障があるほど重度で、通常6ヶ月以上続きます。

朝起きた時からひどい疲れを感じ、それが1日中続きます。
この疲労は、しばしば身体活動や精神的ストレスを感じているときに悪化します。

ただし、筋力の低下、関節や神経の異常などの証拠がみられることはありません。
ウイルス感染症様の症状が出ているときかその後で極度の疲れが生じ、発熱、鼻水、リンパ節の痛みや圧痛が伴います。
しかし多くの人では、先にウイルス感染様の症状が出ることなしに疲れが現れ始めます。

そのほかに、集中力の低下、不眠、喉の痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、腹痛などの症状が現れることもあります。
抑うつがよくみられます。
特に症状が重度であるか、悪化しつつあるときにその傾向があります。
症状には、関連疾患である可能性がある線維筋痛症と重なる部分がしばしばみられます。

  • 社会生活や日常生活ができないほどの疲労感
  • 記憶力、集中力の低下
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • のどの痛みや微熱などの風邪様症状
  • 首やわきの下のリンパ節の腫大や圧痛
  • 睡眠障害
  • 頭痛
  • 低血圧
  • 胃腸が過敏
  • 体の体温調節がうまくなく、暑いのも寒いのも苦手
  • 音や光に対して過敏
  • 立ち上がった直後などに動悸やめまいがする
  • ちょっとした運動でひどく疲れる
  • 気力がわかない、憂鬱になる

慢性疲労症候群の診断

慢性疲労症候群の診断を確定できる臨床検査はありません。
そのため慢性疲労症候群を疑った場合、まずは内科受診をお勧めします。

内科でよく似た症状を引き起こす可能性のあるほかの疾患を否定する必要があります。
貧血、電解質異常、腎不全、炎症性疾患(例えば関節リウマチ)、心疾患、睡眠障害、甲状腺や副腎の疾患などを否定するために血液検査や心電図などを行います。

身体的な病気の可能性がないとされた場合は、次に心療内科・精神科を受診しうつ病などの精神疾患を除外します。
慢性疲労症候群の診断が下せるのは、薬の副作用も含め、この疲労やほかの症状を説明できる他の原因が見つからなかった場合に限られます。

2015年全米科学アカデミー(NAS)の1部門である米国医学研究所(IOM)により、この体力を奪う疾患の妥当性を認め、診断基準を簡素化しました。診断基準では次の3つの症状が認められる必要があります。

  • 職業的、教育的、社会的または個人的活動を、発病前の水準まで広げる能力が大幅に低下するかまたは損なわれている状態が6ヶ月以上続き、かつ、しばしば顕著で新たな、または明らかな発症として起こり(これまで続いてきたものではない)、過度の継続的労作の結果ではなく、休息しても実質的に軽減されることのない疲労を伴う
  • 睡眠をとっても疲れがとれない
    また、次の症状のうち少なくとも1つが認められる必要もあります。
  • 思考困難
  • 起立時に頭のふらつきやめまいを感じ、横になると治まる
    症状の頻度と重症度は医師が評価する必要があります。これらの症状が50%以上の期間において中等度、かなり、重度の度合いでみられなければ、医師は慢性疲労症候群の診断を再検討します。

また、次の症状のうち少なくとも1つが認められる必要もあります。

  • 思考困難
  • 起立時に頭のふらつきやめまいを感じ、横になると治まる

症状の頻度と重症度は医師が評価する必要があります。これらの症状が50%以上の期間において中等度、かなり、重度の度合いでみられなければ、医師は慢性疲労症候群の診断を再検討します。

慢性疲労症候群の治療

慢性疲労症候群の症状は多くの場合、時間の経過につれて軽減していきます。
ただし、症状が消失するまでには何年もの年数がかかることが多く、またすべての症状が消失するわけでもありません。
患者さんは、どの機能が失われたのかという点よりもどの機能を取り戻せるのかという点に集中したほうが、回復の度合いが上がる可能性があります。

  • 認知行動療法
    認知行動療法では、回復に役立つ可能性のある、将来に対する前向きな見通しを損ねるような、後ろ向きの思考を転換することを目的とした、通常は短期間の精神療法を行います。
  • 段階的運動
    休養は、長く取りすぎるとデコンディショニングが起こり、慢性疲労症候群の症状を実際に悪化させることがあります。
    ウォーキング、水泳、サイクリング、ジョギングなどの有酸素運動を、医療専門家の綿密な監督の下で徐々に始めて定期的に続けることにより(段階的運動プログラム)、疲労感を改善し、身体機能を高めることができます。体系化された正式なリハビリテーションが最良です。
  • 薬物療法
    具体的な症状(痛み、抑うつ、不眠など)の治療が行われます。
    慢性的な疲れ自体を緩和するために多様な薬や代替療法が試みられています。抗うつ薬やコルチコステロイドなど、少数の患者さんに改善がみられる治療法も多数あるようですが、患者さん全員に明らかに有効な治療法はありません。患者さんが違えば症状も異なり、また症状が自然に現れたり消えたりするため、どの治療法が有効なのか判断することは困難である可能性があります。
    薬の比較試験において慢性疲労症候群の治療に効果的と証明された薬物療法はこれまでのところありません。インターフェロンの投与、免疫グロブリンの静脈内投与、抗ウィルス薬投与など、考えられる原因を対象とした治療法もいくつかいくつか試みられていますが、大半が期待はずれであり危険である可能性もあります。
    漢方薬が使われることもあります。
  • 抗酸化療法
    ビタミンCやコエンザイムQ10、ビタミンB群、EPAやDHAなどの魚油のサプリメント、イブニングプリムローズ(月見草)オイルもよく使用されています。

慢性疲労症候群のセルフケア

  • 規則正しい生活をしましょう
    太陽と共に起き太陽の光を浴びましょう。体内時計がリセットされて、リズムが整います。午後11時には眠る生活がベストです。早寝早起きは免疫力を回復させ、ホルモンバランスを整えます。
  • バランスのとれた食事を摂りましょう
    麺類や菓子パン、丼ものなど炭水化物に偏った食事ではなく、たんぱく質や野菜をしっかり食べるようにしましょう。夕方以降のカフェイン摂取も要注意です。
  • 甘い物の摂りすぎに注意
    疲れていると甘い物が食べたくなりますが、糖質の摂りすぎはビタミンB群を消耗してしまい、疲労回復には逆効果です。
  • 軽い運動を行うようにしましょう
    ストレッチやウォーキングなどできることから始めましょう。交感神経を活発にしたい朝は、ラジオ体操やウォーキングのような運動が有効ですが、副交感神経を優位にしたい夜はストレッチがおすすめです。
  • 夜はぬるめのお風呂でリラックス
    38~40℃のぬるめのお風呂や足浴で副交感神経の働きをよくし、心身の緊張をほぐします。
  • 生きがいを持つ
    仕事や家事だけの毎日では、気持ちの張りが失われてきます。「これがあるからこそ頑張れる」と思える趣味や生きがいは必要です。
  • 大いに笑おう
    笑うとウィルスを撃退するNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化。ストレスに強くなります。作り笑いでも免疫力があがるそう。

記事執筆者

溝口徹 画像

医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長

溝口 みぞぐち とおる

所属・資格

  • 栄養解析医
  • 栄養解析レポート監修
  • 社)オーソモレキュラー栄養医学研究所 代表理事
  • 日本抗加齢医学会 評議員
  • 2018年国際オーソモレキュラー医学会 Hall of Fame
  • 2020年第2回日本オーソモレキュラー医学会総会 会頭

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