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女性はライフステージの変化とともに、月経に伴うさまざまな症状が出ます。
ここではPMS(月経前症候群)と更年期障害を取り上げます。
PMSとはPremenstrual Syndromeの略で、生理前に起こる様々な不調を指し、日本語では月経前症候群と呼ばれます。生理の3-10日位前から心や身体の不調が起こり、生理が来ると症状が弱まり、やがて消えていきます。
PMSの症状は人によってさまざまで、同じ人でも月によって症状が違い、その種類は200以上と言われています。
主な症状には以下のようなものがあります。
心の症状
身体症状
中には精神症状が強く日常生活が困難になる人もいます。
そのような場合、PMDD(Prementrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)が疑われます。
PMDDという名称がついたのは1994年と比較的新しく、2013年に抑うつ症状群の一つと捉えられるようになっています。
日本では月経のある女性の約70-80%が月経前に何らかの症状があり、PMDDは1.8-5.8%が該当するという統計があります。
月経が始まったころは不順なことが多く、女性ホルモンの働きが安定してくるのは18歳ごろです。それから閉経を迎える40~50代の間の症状には年代によって異なる傾向があるようです。
20代の女性は下腹部痛や頭痛など身体症状が強く出る傾向にあり、30代になると、精神的に不安定になったり、攻撃的になるなど精神症状が出やすくなります。
30代は仕事や結婚、妊娠、出産、子育てなど多忙でストレスを感じやすい時期です。一般的に出産経験のある女性の方がイライラする、怒りっぽくなるなど精神的な症状が多くみられます。
PMSは人によって大きく症状が異なりますが、その原因ははっきりとはわかっていません。
排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下することが原因であると考えられています。
また、脳内のホルモンや神経伝達物質、ストレスなども影響を及ぼしていると考えられ、PMSは多くの要因から起こるといわれています。
PMSは上記に挙げたような症状が月経前に毎月現れ、月経開始後に和らぐことが特徴です。
症状を記録し、月経周期との関連性を確認します。また、症状が似ているうつ病や精神神経疾患でないことを確認します。
PMSの程度は人それぞれなので、症状に応じた対策をしていく必要があります。
排卵抑制療法(排卵を抑える治療法)
排卵を止めて女性ホルモンの変動をなくすことで症状を軽減する方法です。
低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は少ないホルモン量で排卵を止めます。
症状に対する薬剤
痛みに対しては鎮痛剤、むくみなどの水分貯留症状に対しては利尿剤や抗アルドステロン療法、精神神経症状に対しては精神安定剤、便秘・下痢には整腸剤などを使用します。
漢方薬
「気」「血」「水」のバランスを整えるため、症状に合った漢方薬(生理痛には桂枝茯苓丸、イライラには加味逍遙散料や抑肝散加陳皮半夏、頭重感やめまいには当帰芍薬散料など)を用います。
卵巣の活動性が次第に消失し、月経が永久に停止した状態を閉経といいます。
日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが個人差が大きく、40代前半~50代後半までさまざまです。閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を更年期といいます。
更年期に現れる症状の中で他の病気に伴わないものを更年期症状といい、その中でも症状が重く日常生活に支障をきたす状態を更年期障害と呼びます。
更年期の症状はさまざまで、個人差があります。
更年期の症状の主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくことですが、その上に加齢などの身体的因子、成育歴や性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。
更年期障害に明確な診断基準はありません。月経歴を含む問診によって診断する「症候群」になります。
更年期障害は身体的因子・心理的因子・社会的因子が複雑に関与して発症しますので、まず十分な問診を行うことが必要です。その上で食生活や適度な運動など生活習慣の改善を試み、それでも改善しない症状に対して薬物療法を行います。
更年期障害の薬物療法は大きく3つに分類されます。
更年期障害の主な原因がエストロゲンのゆらぎと減少にあるため、少量のエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)が行われます。
HRTは、ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など血管の拡張と放熱に関係する症状に特に有効です。
エストロゲン単独では子宮内膜症のリスクが上昇するため、黄体ホルモンを併用します。(手術で子宮を摘出した方には黄体ホルモンを併用する必要はありません。)
HRTに用いるホルモン剤には、飲み薬、張り薬、塗り薬などいくつかのタイプがあり、投与法もさまざまです。
漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。
多彩な症状を訴える更年期女性には「婦人科三大処方」とも呼ばれる当帰芍薬散(体力低下、冷え性、貧血傾向)、加味逍遙散(虚弱体質、疲れやすい、不安、不眠)、桂枝茯苓丸(体力中等度以上でのぼせ傾向、下腹部に抵抗・圧痛)を中心にさまざまな処方が用いられます。
気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠などの精神症状が強い場合には向精神薬を用いることがあります。
医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長