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不妊治療

不妊治療の現状

自然な妊娠による出産ではなく、何らかの生殖補助医療(ART)による出生児は年々増え2017年の調査によると56,617人でした。この数値は、全ての出産に占める割合が16人に1人にまでになり、小学校の1教室に2人はARTによって生まれた児がいることになります。

一方ではすべてのARTで出産までに至った割合は11.8%であり決して高い確率ではないことが分かります。
さらに年齢別でみてみると、ARTによる妊娠出産の治療成績は、年齢が強く影響していることが分かります。35歳をこえるとARTによる妊娠成功率が徐々に低下するだけでなく、妊娠してから流産してしまう率をみると急激に上昇し40歳で33.6%、43歳で49.3%になってしまいます。つまり頑張って不妊治療を受け、どうにか妊娠反応がでても43歳をこえると残念ながら半数が流産してしまうということです。

グラフ 日本産婦人科学会 ARTデータブック2017 より引用

不妊治療とオーソモレキュラー栄養療法

当クリニックは、2003年に開設されました。その当時から、不妊治療に取り組む患者さんがオーソモレキュラー栄養療法を併用することによって妊娠~出産することが口コミで知られていたようです。特にここ数年では、オーソモレキュラー栄養療法をとりいれる不妊治療の専門施設が増えたり、書籍や雑誌などでも取り上げられることが多くなり受診される患者さんも増えています。
最近では不妊治療関連の学会から、妊娠と栄養の関係について講演の依頼を受けることも増えたたこともあり、医師向けの勉強会を開催すると不妊治療を専門に行う医師が多く参加されるようになりました。(http://orthomolecule.jugem.jp/?cid=21

2003年の開設以来、多くの不妊治療に取り組む患者さんをサポートし、妊娠成立から出産に至る多くを経験してきました。2人目の妊娠のために不妊治療に取り組まれる患者さんの場合には、1人目の出産よりも2人目の妊娠・出産・子育てのほうが体調が良いと言われます。良好な栄養状態は、妊娠成功だけでなくその後の経過においても体調面でメリットがあるのです。
また生まれてくる赤ちゃんもよく寝てくれて穏やかで肌もきれいで風邪もひかない・・・とても育てやすいと言われます。

妊娠~授乳中の栄養療法のメリット

  • つわりが軽く済む。つわりのときの体力低下を防ぐことができる
  • 適切な食事の指導によって妊娠糖尿病を避けることができる
  • 妊娠中期から後期にかけての貧血をはじめとする栄養不足を防ぎ元気に妊娠期を過ごすことができる
  • お産が軽いことが多い
  • 赤ちゃんが良く眠ってくれる
  • 赤ちゃんの肌荒れが少ない
  • 赤ちゃんが風邪をひきにくい
  • 産後のうつ状態を予防、改善する

不妊治療のオーソモレキュラー栄養療法の特徴

オーソモレキュラー栄養療法では、多くの病態改善や治療の効果を得るために必要な理想的な栄養状態を設定し、食事の変更とサプリメントによる栄養補充を行います。挙児を希望する夫婦の場合には他と異なる特徴があります。

ある栄養素が欠乏してくるとその栄養素を多く含む組織や臓器にトラブルが生じやすくなります。卵子は、全身にある細胞の中でも最もミトコンドリアを多く含んでいる細胞です。そしてミトコンドリアでは細胞の活動に必要なエネルギーを作ったり細胞にとって害のある物質を解毒したりしています。ミトコンドリアのこの作用には、ヘム鉄・ビタミンB群・マグネシウム・コエンザイムQ10などが必要になります。つまりこれらの栄養素が不足してくるとミトコンドリアの機能が下がり、ミトコンドリアを多く含む卵子には機能の低下が起る可能性がでてくるのです。

また卵巣、卵胞、卵子は、酸化や糖化を受けやすいことが知られています。つまりストレスや糖質、甘いものなどによる血糖値のスパイク状の上昇などは、卵子にとってとてもダメージを与えやすいのです。オーソモレキュラー栄養療法では、酸化ストレスの度合いや糖化の程度なども血液検査を行い評価し、具体的な生活指導や食事の指導を行っています。

質の良い元気な卵子を作り排卵できるようになるために栄養状態を積極的に整え、血液検査データで良好なバランスが整った場合、その3~4ヶ月後の排卵から卵子の質が上がることを良く経験しています。
一方男性の場合では、精巣や精子の特徴として亜鉛を多く必要としていることは知られています。そして実は魚油に含まれる成分であるDHAも多く精子には含まれます。さらに脂溶性のビタミンも必要となり、これらの栄養素を効果的に補充し活性酸素の発生を抑える生活習慣の改善を指導します。男性では、数週間で明らかな効果が得られることが多く、不妊治療を担当している先生から精子の数や運動率の改善などで驚かれることが多くあるのです。

体外受精を繰り返してもなかなか妊娠できないとき、オーソモレキュラー栄養療法の併用はそれまでと異なる結果を作る手助けになると思います。

オーソモレキュラー栄養療法で注目する妊娠に関係する各栄養素

  • 血糖値スパイクの抑制による卵子の糖化防止
  • 鉄、ビタミンB群、マグネシウム、コエンザイムQ10などによる卵子の質の改善
  • 亜鉛、DHAなどによる精子の改善
  • 亜鉛、脂溶性ビタミンなどによる子宮内膜の改善
  • EPA、ナットウキナーゼなどによる血栓の予防による着床、胎盤形成の促進