大腿骨頭壊死は大腿骨の先端部の血流障害が原因と考えられています。
骨への血流が阻害され栄養の補給が滞るため骨組織に変性が起こり最終的に壊死に至るものです。
最終的には大腿骨頭置換術や股関節全体を人工関節で置換するような外科手術が必要になることがあります。
外科的な手術療法以外では体重のコントロールや鎮痛剤などの薬物療法、さらにはリハビリテーションなどが行われますが病状の進行を遅らせることが主な目的になります。
オーソモレキュラー栄養療法では、病気や症状が起こる栄養や代謝のトラブルに注目することによって従来の薬物療法や手術などの外科的療法とはことなるアプローチが可能になります。
大腿骨頭壊死では、局所の血流が障害することが原因であるため、積極的な血流の維持や改善を試みます。
栄養素では、EPAなどの魚油の一部や月見草オイルなどに含まれるγリノレン酸などは、血管新生に関わるとともに局所の炎症を抑える作用を有しているため血流改善には有効です。
また炎症が起こっている部位では、血栓が作られることによって血流が妨げられることにもなるため、血栓を抑制することも有効です。
EPAやγリノレン酸は血栓を抑制する作用もあるため栄養療法では選択されます。また血液検査で血栓形成が進んでいる場合には、積極的に血栓を溶かすために納豆などに含まれる酵素を用いることもあります。
初回基本プラン |
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52,800円 初回基本プランに含まれるもの ・詳細な血液検査+栄養解析レポート ・診察料 5回分 |
※追加検査が発生する場合があります。追加検査の料金の詳細などは診療料金をご覧ください。
月々のサプリ代 |
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3万円~6万円 |
大腿骨頭壊死(股関節壊死)は股関節を構成する骨の一部、具体的には大腿骨頭(大腿骨の先端部分)の血流が障害され、骨細胞が死滅することで引き起こされる疾患です。
血流が不足することで、骨組織は壊死し、最終的には骨の崩壊や関節の変形を引き起こします。
骨壊死が起こること(発生)と、痛みが出現すること(発症)には時間的に差があります。
骨壊死があるだけでは痛みはありません。
骨壊死に陥った部分が潰れることにより、痛みが出現します。
そのため、骨壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは生涯にわたり痛みをきたさないこともあります。
外傷や放射線照射など、明らかな壊死の原因があるものを「症候性大腿骨頭壊死」といい、明らかな原因のないものを「特発性大腿骨頭壊死」といいます。
特発性大腿骨頭壊死は厚生労働省の指定難病に指定されており、日本における一年間の新規発生数は約2000~3000人です。
好発年齢は全体では30~50歳代、男性では40歳代、女性では30歳代と60歳代が多く、男女比は全体では1.5:1となります。
大腿骨頭壊死は進行性の病気であり、早期の発見と治療が重要です。放置しておくと、最終的には人工股関節置換術などの外科的手術が必要になることがあります。
大腿骨頭壊死の症状は以下の通りです。
症候性大腿骨頭壊死
外傷(大腿骨頚部骨折など)、放射線照射、血液疾患などが原因で起こる場合
特発性大腿骨頭壊死
原因は未だに不明ですが、危険因子としてSLEなどの免疫異常疾患、臓器移植などによるステロイド投与、アルコール、喫煙が関連していることが分かってきています。
血流障害
血管が詰まったり、血液の流れが悪くなったりすることが、骨の壊死を引き起こします。
外傷や骨折
股関節の外傷や骨折によって血管が損傷し、血流が途絶えることがあります。
アルコールの過剰摂取
長期間の過剰なアルコール摂取も、骨に対する血流障害を引き起こし、壊死を誘発することがあります。
遺伝的要因
特定の遺伝子が大腿骨頭壊死を引き起こすリスクを高めることが知られています。
大腿骨頭が壊死しても痛みは生じません。痛みは骨壊死に陥った部分が潰れて大腿骨頭が圧潰生じた時に出現します。
大腿骨頭壊死症の発生から症状が出現するまでの間には数ヶ月から数年の時間差があります。
初期症状は、股関節の痛み、腰痛、膝痛、臀部痛など股関節周辺に現れることが多いです。
しかし、初めは腰や膝、太ももに痛みがでることもあり、必ずしも股関節の痛みとは限りません。
進行してくると、股関節の可動域が狭くなることで動きが制限されたり、股関節が変形し歩行がさらに困難になることがあります。
大腿骨頭壊死における画像検査にはレントゲンとMRI検査が有効となります。
レントゲンは骨の形状や変化を評価でき、簡便なので最初の検査として行われるケースが多いです。
しかし、大腿骨頭壊死の初期の段階ではレントゲンだけでは異常がみられないケースもあるため医師との相談が必要となります。
壊死の範囲を評価するだけではなく、骨折や関節炎など別の病気も診断可能になります。
診断には早期発見が重要となりますが、レントゲン撮影では変化が見られないケースもあるためMRI検査まで行われることが多くなります。
手術が必要な場合は、骨の状態を立体的に確認するためにCT検査が必要となります。
治療法には年齢、内科的合併症、職業、活動性、片側性か両側性、壊死の大きさや位置などを考慮して総合的に 判断して決定されます。
壊死の大きさや位置から予後がよいと判断できる場合や症状がない場合は保存療法の適応です。
関節症性変化が進むまで可動域は比較的保たれるため、積極的な可動域訓練は必要ない場合が多く、疼痛が強い時期には安静が大切です。
杖による免荷や体重維持、長距離歩行の制限、重量物の運搬禁止などの生活指導を行います。
保存療法では、圧潰の進行防止は大きく期待できないため、圧潰進行が危惧される病型では骨頭温存のための手術療法の時期を逸しないことが重要です。
症状が出現すれば、変形が進む前に手術療法を受ける方が治療効果は高くなります。
痛みを軽減するための薬(鎮痛剤や抗炎症薬)や血流改善を目的とした薬剤が使用されることがあります。
運動療法や物理療法により、可動域を広げる運動や症状を和らげることを目的として行われます。
ステロイドが原因であれば、その使用を中止することで進行を防ぐことがあります。
自覚症状があり、圧潰の進行が予想されるときは速やかに手術適応を決定します。
若年者においては自分の関節を残す骨切り術が第一選択となりますが、壊死範囲の大きい場合や骨頭圧潰が進んだ症例、高齢者などでは人工関節置換術が必要になることもあります。
また、最近では壊死部の骨再生を促す再生医療の臨床研究もおこなわれています。
大腿骨の転子間部で大腿骨頭及び頸部を内側に傾け(内反させ)たときに、壊死部が内側へ移動し荷重部からはずれる場合に適応があります。
骨切りの形状に工夫をした大腿骨転子間弯曲内反骨切り術では合併症が少ないとされています。
大腿骨頸部軸を回転軸として大腿骨頭を前方あるいは後方に回転させることで、壊死部を荷重部から外し、健常部を新しい荷重部とする方法です。
また、同時に大腿骨頭を内反させることにより、寛骨臼荷重部に対する健常部の占める割合をさらに増やすことができます。早期の治療として有効な場合があります。
圧潰した大腿骨頭を人工骨頭で置き換えたり、股関節全体を人工股関節で置換したりします。
骨切り術に比べて早期から荷重が可能で、入院期間も短期間ですみますが、人工物自体に耐久性の問題があり、将来再置換術が必要になる可能性があることを念頭に置く必要があります。
若年者の場合は骨切り術の可能性をできるだけ追求し、人工関節置換術の適応には慎重でなければなりません。
壊死領域の大きさと位置により、大腿骨頭の圧潰が将来発生するかどうかはほぼ予測できます。
ごく小範囲の壊死であれば自然修復する場合もあります。
壊死領域が小さく、非荷重部に存在する場合は、無症状で経過できる可能性が高いです。
壊死領域が比較的大きくても、関節温存手術の適応となる範囲であれば、術後は良好な予後も期待できますが、変形性関節症への進展の有無につき継続的な治療が必要となります。
関節温存手術を行う際には、手術時期を逸しないことが重要です。
荷重部に広範な壊死が存在している場合には、骨頭温存手術は困難ですが、骨頭圧潰が著明で疼痛のためQOLが低下した場合は人工関節置換術を行うことによって良好な予後も期待できますが、術後の脱臼やゆるみの有無のチェックが継続的に必要になり、10~20年程度の経過で人工関節置換術が必要になることもあります。
医療法人 回生會 理事長
みぞぐちクリニック 院長