スタッフブログ STAFF BLOG

2022.11.09

臨床研究のエビデンスレベルに変化 オーソモレキュラーに追い風

こんにちは!学術担当のスタッフです。

最近、大阪大学で無料授業をのぞいてきました。テーマは臨床研究。
「英語で論文を書かなくてはいけないので、土俵は欧米。なので、欧米の最近の流行を知ることも大切だよ~」とのこと。話をきいていると、どうも、「最近の流行」はオーソモレキュラー栄養療法の研究を後押ししてくれそうな感じなのです!

大規模で時間とお金をたくさんかけないとできないような介入研究や、そういう大規模研究を複数あわせてメタ解析した研究がもっとも信頼できる!とされてきました。今でもその重要性に変わりはなく、多くの事例を元にしたガイドラインはみんなが同じように治療を受けるために必要です。

エビデンスレベルのピラミッド

エビデンスの信頼度の程度をエビデンスレベルといいます。高い方から診療ガイドライン、システマティック・レビュー、RCT(無作為化比較試験)、コホート研究、症例対照研究・症例集積研究・症例報告などの順となります。(上記の図と文は下記URLより引用)

https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/drill/5074/

※エビデンス(個々の患者のケアに関わる意思を決定するために、最新かつ最良の根拠のこと)

ピラミッドの下の方にある「症例報告や観察研究はエビデンスレベルが低く、お話にならない」といわれがちです。でも、それが最近変わってきています。観察研究=コホート研究や、症例対照研究などのことです。

最近欧米では「メディカルオーバーユーズ」「医療過剰」がさけばれています。つまり、薬や制度などの医療を過度に使用過ぎて患者に害が出たり、医療費を消費することに批判が出て、それを改善しようという動きがあるのです。
「Less is more」という言葉は、ドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉でしたが、最近は研究の世界でも使われるようになりました。
https://ideasforgood.jp/glossary/less-is-more/

「米国では、医療費の高騰や不必要なケアによる患者への悪影響が指摘され、低価値医療を減らすためのさまざまな取り組みが行われています。低価値医療とは、広義には、患者さんへの利益がほとんどなく、患者さんに害を与え、医療資源の浪費につながる可能性のある医療を指します。」

Latifi N, Redberg RF, Grady D. The Next Frontier of Less Is More—From Description to Implementation. JAMA Intern Med. 2022;182(2):103–105. doi:10.1001/jamainternmed.2021.6908

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2786586?widget=personalizedcontent&previousarticle=2717496

介入研究など、わざといろんなことを操作するのではなく、日常の診察のデータから行う観察研究でも、良い研究デザインであれば強いエビデンスを作れるという流れになってきているそうです。
今までエライ!とされてきた大規模な研究では見逃してしまう、現実に近い環境で患者さんの負荷の少ない研究ができる可能性があります。実際、ピラミッドの下の方にある「観察研究」の論文本数は、世界的に信頼されている学術雑誌で年々増えてきています。

その理由は、2つあって、
①多様な背景のひとがいるリアルワールドデータの重要性が認識されてきたこと
②それらのデータをコンピューターや統計解析の進歩によって解釈できるようになってきたこと
があげられます。

溝口徹先生をはじめとする先生方や患者様自らがおこなうオーソモレキュラー栄養療法は日々、数々の根本的な症状改善を実現しておりデータも沢山あります。これをまとめたり発表していくことはとても重要です。

これまでオーソモレキュラー栄養療法は、国の認める保険の範疇やガイドラインなどの王道を外れている!といわれてきました。でも、その根拠となるピラミッドの意味が変わり、「観察研究」の意義が見直され、オーソモレキュラー栄養療法の研究を後押しする流れになってきています。

臨床の感覚に沿った良い研究デザインで強いエビデンスを作れるよう、この流れに乗って頑張りたいと思います!

今日のまとめ

・論文は欧米が土俵なのでそこの流行りにも合わす必要あり。

・今はless is moreの時代。medical over useが叫ばれ問題になっているため。

・real world dataの大切さにみんなが気づき始めた。以前は前向きや介入研究がもてはやされたが、より現実に近い、多様な背景を持つ患者を扱えるため。
例えば、レセプトデータなどを用いた後向きの観察研究などでも、リサーチクエスチョン(疑問)、研究デザイン(型)がしっかりしていれば価値が高い研究になるということ。

※いわゆる「観察研究」
研究の目的で検査、投薬その他の診断又は治療のための医療行為の有無及び程度を制御することなく、患者のために最も適切な医療を提供した結果としての診療情報又は試料の収集により得られた情報を利用する研究。https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000746945.pdf

過去の院長ブログより
http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=918

過去のスタッフブログより
https://mizoclinic.tokyo/staff/5740/