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2025.06.21

血糖値とインスリン値の変動と低血糖症状の関連性

このほど、溝口医師と青山医師による5時間糖負荷検査と自律神経症状についての論文が採択されました。

Mizoguchi, T., Aoyama, N., Jinnouchi, Y. et al. Associations of fluctuations in blood glucose and insulin with hypoglycemic symptoms. Sci Rep 15, 11579 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-91544-5

5時間の糖負荷検査を10年以上行っている医療機関はあまり多くはありません。患者様は食後の眠気など原因不明の症状に悩みご自分で調べ、みぞぐちクリニックへご来院されます。患者様の協力を得て、原因不明の様々な症状と血糖値、インスリン値との関連を研究論文にまとめました。

低血糖と様々な症状が関連しているかどうかについて、「低血糖のときに症状が現れるとは限らないため低血糖と様々な症状は関連していない」と議論されてきました。しかし、今回インスリン値を血糖値と一緒にみると、特に自律神経症状についてある特徴が浮かび上がってきました。
インスリンが多く早いタイミングで出てしまう人たちでは、食後のリラックス感がなく、血糖値の変動がその後も不安定に継続し、症状も継続したのです。
この結果はこれまでのクリニックにおける食事指導、「血糖値を急激に上げないこと」で原因不明の症状をやわらげることができるかもしれないことを再確認するものでした。

よろしければぜひご一読ください。

要約

動悸、手足のしびれ、めまい、眠気など医学的に説明のつかない症状と血糖値の変動との関連性は、長い間議論の的となっているが、いまだにコンセンサスが得られていない。そこで我々は、症状を訴える非糖尿病患者に5時間ブドウ糖負荷試験を実施し、血糖値およびインスリン値と症状との関連性を検討した。
本研究には合計139名(男性54名、女性85名、平均年齢35.4歳)が参加した。血糖値およびインスリン値は、10時間絶食および75 gブドウ糖負荷の前と、負荷後15、30、60、90、120、150、180、240、300分に測定された。インスリン指数を用いて参加者をインスリン分泌の早期群、中期群、遅延群に分けた。低血糖症状(神経性血糖減少性:温感、眠気、脱力感、失神、思考力の低下、めまい)と自律神経症状(神経性:動悸、冷や汗、不安/緊張、震え、空腹感、うずき)を別々に評価した。
低血糖(70 mg/dL(3.9 mmol/L)未満)は、240~300分で全患者の92%に発現し、低血糖症状と自律神経症状を伴った。低血糖症状は時間の経過とともに増加し、240分で最高となった一方、自律神経症状は15分間有意に減少し、240分と300分で増加した。低血糖症状は早期、中期、遅延分泌群間で有意差はなかったが、自律神経症状の発現率は、30~60~90分時点では早期インスリン分泌群の方が他の群よりも高かった。インスリン分泌早期群の特徴は、症状が血糖値だけでなくインスリン分泌のタイミングにも関連していることを示唆している。インスリン分泌プロファイルに合わせた食事介入がこれらの症状を軽減できるかどうかについては、さらなる研究が必要です。

TV再放送 プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000104320.html

溝口徹医師 青山尚樹医師による原著論文

https://www.nature.com/articles/s41598-025-91544-5

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